源泉徴収とは?その仕組みや計算方法をご紹介

給与明細に記載されている「源泉所得税」がどのような仕組みになっているのか、ご存知でしょうか?「源泉徴収されている税金」「よくわからないけど天引きされている」以上のことを知っている会社員の方はあまり多くはないでしょう。

そしてそれは個人事業主にとっても同じこと。毎月の支払額から源泉徴収されている「源泉所得税」は「どのような仕組みで徴収されている税金なのかよくわからない」という方の方が多いですよね。

この記事では、学校や会社では教えてくれない源泉徴収の仕組みについてみていきます。あなたの手取りから徴収されているこの税金は、このような仕組みになっているのです。

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監修者
■監修者:マネーライフワークス代表 岡崎壮史
CFP認定、FP1級、社会保険労務士。2019年にマネーライフワークスを設立。現在は、厚生労働省の委託事業である「就労環境改善支援セミナー」と「過重労働解消のためのセミナー」の講師。セミナー実施回数は計100回以上。

源泉徴収とは?

源泉徴収とは、特定の所得にかかる税金について所得の支払者が国に代わって所得の中から徴収し、まとめて国に納める制度のことです。この報酬を支払う人のことを、源泉徴収義務者といいます。

いくら源泉徴収されるかは個人によって異なります。源泉所得税の算出は個人の所得額を元に行われるためです。

毎月給与から天引きされている源泉所得税は、その月の給与額とその時点で会社が把握している所得控除を元に計算されています。そのため、正確な源泉所得税額ではなく、仮で計算された源泉所得税額であるといえます。

給与所得者の源泉徴収の仕組み

会社員の方は、毎月給与から源泉徴収されるーつまり、天引きされていることが一般的。給与明細には「源泉所得税」という項目で記載されています。正社員だけでなくアルバイトやパート社員でも対象です。

毎月給料から天引きされた源泉所得税は、翌月の10日までに会社から税務署へ納付されます。ボーナスや各種手当、退職金からも源泉徴収されることになっています。

従業員が10人以下の会社の場合は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出していれば、納付を半年分まとめて行うことができるようになります。その場合は、1~6月分を7月に、7~12月分を1月に納付するスケジュールです。

給与所得者の源泉徴収と年末調整

給与所得者の源泉徴収は毎月支払われる給与等から直接控除される形で行われます。

その後、毎年11月の終わりから12月にかけて、源泉徴収された所得税の金額と実際に支払わなければならない所得税額との差額の精算を行わなければなりません。

この所得税の精算の手続を「年末調整」といいます。

年末調整を行う理由としては、源泉所得税額は概算での計算によるため、実際に支払うべき所得税額との間に差額が生じることが考えられます。

そこで、毎年11月~12月にかけて、実際に納付すべき所得税額が確定する時期に、概算で聴取していた源泉所得税額との差額を精算する手続きが必要となるため、年末調整の手続が必要となります。

給与所得者の源泉徴収と確定申告

給与所得者であっても、確定申告が必要となる者は以下のいずれかに該当する場合です。

  1. 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
  2. 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
  3. 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人 
  4. 住宅借入金等特別控除の申請をする場合(初年度のみ)など

参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁 / No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

報酬支払に関する源泉徴収の仕組み

源泉徴収は給与支払いのみに適用される制度ではありません。報酬の支払いでも源泉徴収は必要となってきます。

給与の支払いと同じように、報酬を支払う者は源泉徴収義務者となります。源泉徴収義務者は支払い時に報酬から源泉徴収を行い、翌月の10日までに税務署へ源泉所得税を納付します。

源泉徴収の対象となる報酬とは?

源泉徴収が必要な報酬とは、税理士や会計士への士業報酬、講演・原稿などに対する報酬、タレントやキャバ嬢・ホストへ支払う報酬などが該当します。具体的には、税理士報酬やライターへの報酬、イラスト料などです。

ここで1点注意事項を。上記のような報酬への支払いで源泉徴収の対象となるのは個人のみ。法人への支払いの場合、源泉徴収は不要となります(※ただし、馬主となっている法人の場合は源泉徴収が必要となります。)。支払う前に、支払先が個人か法人か確認するようにしましょう。

参考:No.2793 報酬・料金等の源泉徴収義務者|国税庁

報酬の源泉徴収額の計算

報酬に対する源泉所得税の計算式は基本的に「報酬額×10.21%」となっています。ここでのポイントは「基本的に」というところ。実は、正確な計算式は報酬内容によって細分化されています。

  • 原稿料・講演料・イラスト料など:報酬額×10.21%
  • 税理士・会計士への報酬:報酬額×10.21%
  • タレントやモデルへの報酬:報酬額×10.21%
  • 司法書士への報酬:(報酬額ー1万円)×10.21%
  • 外交員等への報酬:(1回の報酬額ー12万円)×10.21%
  • ホステスへの報酬:(1回の報酬額ー(5千円×計算期間の日数))×10.21%
  • 賞金としての報酬:(支払額ー50万円)×10.21%

支払いを物品で行う場合や1回の支払い額が100万円を超える高額報酬の場合は、また計算式が変わってきます。源泉徴収を行う前に、どの計算式を使用すべきかきちんと確認するようにしましょう。

報酬の源泉徴収と支払調書

会社員にとっての年末調整と同じことを報酬の支払いでも行います。ライターやイラストレーターとして活動している人なら「支払調書」と呼ばれる書類を取引先から受取ったことがあるのではないでしょうか。

支払調書とは、1年間において、誰にいくら報酬が支払われ、いくら源泉徴収を行ったのかが記載されている書類です。源泉徴収義務者から税務署へ提出する義務があります。提出期限は毎年1月31日です。

この支払調書を税務署に提出することで、税務署は個人がこの会社から代理で徴収・納税された源泉徴収の額を把握することができます。

一方、会社によっては個人宛にも同様の支払調書を発行します。税務署への提出は義務ですが、こちらは任意となっています。

報酬の源泉徴収と確定申告

会社から発行された支払調書を受取った個人は、これを見ることでその会社から受取った報酬額や源泉徴収された源泉所得税の額を把握できます。確定申告を行う際の資料となりますので、捨てずに保存しておくようにしましょう。

また、確定申告を行う際は源泉徴収によって納付済みの源泉所得税額を忘れずに申告するようにしてください。そうすることで、その分は確定申告によって納めることになる源泉所得税額から減額することができ、二重支払いを防いでくれます。

まとめ

源泉徴収は誰にとっても身近なもの。給与や報酬といった金銭を会社から受け取っているほとんどの方が体験することになる税徴収の制度です。

「よくわからない」「難しそう」と思っていた方もいると思いますが、一言で言ってしまえば源泉所得税を仮の金額で毎月納税するための制度のこと。あまり難しく考える必要はないのです。給与明細や支払調書を次に受取ったときは、「自分の源泉所得税のがいくらなのか」確認してみてください。