源泉徴収とは?その仕組みや計算方法をご紹介

給与明細に記載されている「源泉所得税」がどのような仕組みになっているのか、ご存知でしょうか?「源泉徴収されている税金」「よくわからないけど天引きされている」以上のことを知っている会社員の方はあまり多くはないでしょう。

そしてそれは個人事業主にとっても同じこと。毎月の支払額から源泉徴収されている「源泉所得税」は「どのような仕組みで徴収されている税金なのかよくわからない」という方の方が多いですよね。

この記事では、学校や会社では教えてくれない源泉徴収の仕組みについてみていきます。あなたの手取りから徴収されているこの税金は、このような仕組みになっているのです。

源泉徴収とは?

源泉徴収とは、特定の所得にかかる税金について所得の支払者が国に代わって所得の中から徴収し、まとめて国に納める制度のこと。この報酬を支払う人のことを、源泉徴収義務者といいます。

いくら源泉徴収されるかは個人によって異なります。源泉所得税の算出は個人の所得額を元に行われるためです。

毎月給与から天引きされている源泉所得税は、その月の給与額とその時点で会社が把握している所得控除を元に計算されています。そのため、正確な源泉所得税額ではなく、仮で計算された源泉所得税額であるといえます。

給与所得者の源泉徴収の仕組み

会社員の方は、毎月給与から源泉徴収されるーつまり、天引きされていることが一般的。給与明細には「源泉所得税」という項目で記載されています。正社員だけでなくアルバイトやパート社員でも対象です。

毎月給料から天引きされた源泉所得税は、翌月の10日までに会社から税務署へ納付されます。ボーナスや各種手当、退職金からも源泉徴収されることになっています。

従業員が10人以下の会社の場合は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出していれば、納付を半年分まとめて行うことができるようになります。その場合は、1~6月分を7月に、7~12月分を1月に納付するスケジュールです。

給与所得者の源泉徴収と年末調整

源泉徴収された源泉所得税は、1年間に1回清算が行われます。会社員の場合は、年末調整で行うことが一般的です。

1年間で支払った源泉所得税額の額と、実際に支払うべきであった源泉所得税の額を計算し、その差額を清算します。

ここで「毎月天引きされてるのに清算が必要なの?」と思いますよね。その理由には「所得は毎月一定ではない」「所得控除が変わる」の2つがあります。源泉所得税は所得の額によって徴収される額が変わってくるため、その計算元となる所得や所得控除に変更があれば、正確な税金額も変わってくるのです。

まず前者の「所得が毎月一定ではない」理由は簡単。残業や昇給によって所得は1年間のうちでも月によって変動があるからです。残業が多い月は所得も多く、昇給前後でも所得額は変わってきます。

続いての「所得控除が変わる」は個人によってケースがさまざま。出産や結婚で扶養する家族が増えたり、その逆が起こったりした場合が該当します。

当初想定されていた所得控除から変動が起こった場合は、その変動を加味した所得にて源泉所得税を計算しなおす必要があります。その新しい源泉所得税と1年間仮で支払っていた源泉所得税の清算を年末調整で行っているのです。

給与所得者の源泉徴収と確定申告

会社員の方でも、自分で確定申告を行う必要がでてくるケースがあります。会社側で年末調整をしてくれない所得控除があるケースや、会社に知られたくない所得や控除があるケースです。

まずは前者のケースです。医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除がある方は会社の年末調整では対応していないため、控除できる所得が少なくなってしまいます。上記分も所得控除として受けたい場合(=税金を少しでも安くしたい場合)は、自分で確定申告を行い所得控除として申告するようにしましょう。

続いて後者です。こちらは副業を行っていたり株式投資で利益があるなど会社に知られたくない所得があるケース。こちらの場合も自分で確定申告を行い、正しい所得を申告するようにしましょう。

報酬支払に関する源泉徴収の仕組み

源泉徴収は給与支払いのみに適用される制度ではありません。報酬の支払いでも源泉徴収は必要となってきます。

給与の支払いと同じように、報酬を支払う者は源泉徴収義務者となります。源泉徴収義務者は支払い時に報酬から源泉徴収を行い、翌月の10日までに税務署へ源泉所得税を納付します。

源泉徴収の対象となる報酬とは?

源泉徴収が必要な報酬とは、税理士や会計士への士業報酬、講演・原稿などに対する報酬、タレントやキャバ嬢・ホストへ支払う報酬などが該当します。具体的には、税理士報酬やライターへの報酬、イラスト料などです。

ここで1点注意事項を。上記のような報酬への支払いで源泉徴収の対象となるのは個人のみ。法人への支払いの場合、源泉徴収は不要となります。支払う前に、支払先が個人か法人か確認するようにしましょう。

報酬の源泉徴収額の計算

報酬に対する源泉所得税の計算式は基本的に「報酬額×10.21%」となっています。ここでのポイントは「基本的に」というところ。実は、正確な計算式は報酬内容によって細分化されています。

  • 原稿料・講演料・イラスト料など:報酬額×10.21%
  • 税理士・会計士への報酬:報酬額×10.21%
  • タレントやモデルへの報酬:報酬額×10.21%
  • 司法書士への報酬:(報酬額ー1万円)×10.21%
  • 外交員等への報酬:(1回の報酬額ー12万円)×10.21%
  • ホステスへの報酬:(1回の報酬額ー(5千円×計算期間の日数))×10.21%
  • 賞金としての報酬:(支払額ー50万円)×10.21%

支払いを物品で行う場合や1回の支払い額が100万円を超える高額報酬の場合は、また計算式が変わってきます。源泉徴収を行う前に、どの計算式を使用すべきかきちんと確認するようにしましょう。

報酬の源泉徴収と支払調書

会社員にとっての年末調整と同じことを報酬の支払いでも行います。ライターやイラストレーターとして活動している人なら「支払調書」と呼ばれる書類を取引先から受取ったことがあるのではないでしょうか。

支払調書とは、1年間において、誰にいくら報酬が支払われ、いくら源泉徴収を行ったのかが記載されている書類です。源泉徴収義務者から税務署へ提出する義務があります。提出期限は毎年1月31日です。

この支払調書を税務署に提出することで、税務署は個人がこの会社から代理で徴収・納税された源泉徴収の額を把握することができます。

一方、会社によっては個人宛にも同様の支払調書を発行します。税務署への提出は義務ですが、こちらは任意となっています。

報酬の源泉徴収と確定申告

会社から発行された支払調書を受取った個人は、これを見ることでその会社から受取った報酬額や源泉徴収された源泉所得税の額を把握できます。確定申告を行う際の資料となりますので、捨てずに保存しておくようにしましょう。

また、確定申告を行う際は源泉徴収によって納付済みの源泉所得税額を忘れずに申告するようにしてください。そうすることで、その分は確定申告によって納めることになる源泉所得税額から減額することができ、二重支払いを防いでくれます。

まとめ

源泉徴収は誰にとっても身近なもの。給与や報酬といった金銭を会社から受け取っているほとんどの方が体験することになる税徴収の制度です。

「よくわからない」「難しそう」と思っていた方もいると思いますが、一言で言ってしまえば源泉所得税を仮の金額で毎月納税するための制度のこと。あまり難しく考える必要はないのです。給与明細や支払調書を次に受取ったときは、「自分の源泉所得税のがいくらなのか」確認してみてくださいね。