テレワーク助成金とは|働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

コロナ禍の状況で少しずつ広がりをみせる「テレワーク」。「良さそうだな」と思いながらも、「コストもかかるし…」とためらっている中小企業関係者も多いのではないでしょうか?

全国で緊急事態宣言が出され、外出自粛が求められる中、オフィスへの通勤者数を減らすため、国や自治体もテレワーク導入への支援策を相次いで設けましたが、そのうちのいくつかはすでに応募が締め切られてしまいました。

しかしながら、今からでも活用できる助成制度もまだ残っています。ここではその制度について、わかりやすくご紹介したいと思います。

現在も利用可能なテレワーク導入助成制度

まず初めに、現在利用可能なテレワーク助成金についての概要です。正式名称は、働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)と言います。

これは、国(厚生労働省)が設けた助成制度で、2020年12月1日まで受付予定となっています。この他、地方自治体による独自の支援策もあります。記事の末尾でご紹介しています。

なぜ国はテレワークを推進するの?

答えはズバリ「働き方改革」。柔軟な働き方を可能にすることで「仕事」と「生活」をより良く調和させる。仕事と育児、介護を両立できるような働き方を導入することで、より優秀かつ多様な人材を確保する。そのための手段の一つが「テレワーク」なのです。 

テレワーク自体は何年も前から政策として推し進められながら、諸外国と比べて日本ではなかなか思うようには普及していきませんでした。

そんな中で起きたのが今回の新型コロナウイルス。「通勤者を減らして感染拡大のリスクを小さくしよう」という日本社会全体の共通認識が企業の行動を促し、それに応える形で国や自治体も支援策を充実させていったのです。

テレワーク助成金|働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)とは

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)は、テレワークを導入するために必要な経費の一部を国が補助してくれる制度です。ただし、受給するにはいくつかの基準を満たす必要があります。

どんな企業が対象なの?

働き方改革推進支援助成金は、下記①〜③を満たす中小企業が対象となります。

  1. 労災保険の適用事業主である
  2. テレワークを新規で導入する事業主、またはテレワークを継続して活用する事業主である(試行的に導入している事業主も対象)
  3. 以下の表の基準に当てはまる

業種別の出資額や条件等は以下の表の通りです。

業種A.資本または出資額B.常時雇用する労働者
小売業(飲食店を含む)5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種3億円以下300人以下

参考:厚生労働省HP

どんな費用に対して、いくら助成金が出るの?

働き方改革推進支援助成金では、以下の1〜5について、成果目標の達成状況に応じて、かかった費用の最大3/4(上限:1人当たり40万円、1企業当たり300万円)が助成されます。

  1. テレワーク用通信機器の導入・運用(※シンクライアント型の機器のみ)
  2. 就業規則・労使協定等の作成・変更
  3. 労務管理担当者に対する研修
  4. 労働者に対する研修、周知・啓発
  5. 外部専門家(社会保険労務士等)によるコンサルティング

成果目標は以下の通りです。

  1. 期間内に1回以上対象労働者全員(派遣労働者も対象)にテレワークを実施させる。
  2. 期間内に対象労働者がテレワークを実施した回数の週間平均を1回以上とする。

働き方改革推進支援助成金を受けるためには、上記のいずれかを達成しなければならないこととなっています。 

テレワークで助成金をもらうにはどうすればいいの?

助成金を申請する手続きは、大まかに以下のような流れになっています。

  1. 交付申請書、事業実施計画をテレワーク相談センターに提出(2020年12月1日締切)
  2. 厚生労働省で審査され、問題がなければ交付が決定する
  3. 決定通知が来たら、提出した事業実施計画にもとづいて事業を実施(機器の購入や研修の実施など)
  4. 実際にテレワークを実施する(最低でも1か月間※テレワークの実施期間は自ら決めることが可能です)
  5. テレワーク実施期間が終わったら、支給申請書をテレワーク相談センターに提出(2021年3月1日締切)
  6. 厚生労働省で審査され、問題がなければ支給決定が通知され、助成金が支給される

要約すると、

1.計画書提出→2.交付決定通知→3,4機器導入・テレワーク実施→5.支給申請→6.助成金支給

という流れになります。

テレワーク助成金の申請時に気を付けるべきポイントは?

テレワークを実施後、書類をきちんと提出することがもちろん重要ですが、その他にも何点か気を付けないといけない点もあります。

1.ただ単にテレワーク用のPCやタブレットを購入するだけでは助成対象にならない

このメニューの助成対象となるのはシンクライアント端末の購入費用のみです。

ちなみにシンクライアントとは、PC等の機能は最小限にとどめ、アプリケーションやデータをサーバー側で実行・管理する仕組みのこと。

情報漏洩対策やBCP(事業継続)対策などのメリットがありますが、初期費用がかかる、オフラインでは作業ができない、などのデメリットもあります。

2.セキュリティ対策を万全にする

テレワークの普及に伴い、セキュリティの欠陥を狙ったサイバー攻撃の件数も増大しており、IPA(情報処理推進機構)や民間の情報セキュリティ会社も相次いで注意を促しています。2020年6月には日本の大手自動車メーカーもサイバー攻撃を受け、同社のサービスや工場の稼働までが停止する重大な事態となりました。セキュリティ面の不備が思わぬ大きな損失につながる可能性もありますので特に注意が必要です。

3.労務管理の方法を工夫する

テレワークによって通勤時間がなくなるメリットがある半面、かえって労働時間が長くなったという調査結果を伝えるマスコミ報道もあります。

労働基準法が改正され、2020年4月から中小企業においても「時間外労働の上限は月45時間、年360時間まで。これを超えた場合には罰則もあり」が適用され始めています。もちろん、この上限を超えて従業員を働かせたからといって直ちに捜査・立件とはならないでしょうが、会社として適切に労務管理を行う方法を確立し、法令順守に努めねばならないことは言うまでもありません。

テレワークで他にも使える2つの助成金

上述の「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」以外にも、利用可能な助成制度がいくつかあるので、ご紹介します。

1.IT導入補助金 C類型(経済産業省)

IT導入補助金とは国(経済産業省)が所管する補助金制度で、中小企業が業務効率化や売上アップのために新規のITツールを導入した場合、かかった経費の一部を補助してくれる制度です。

特徴は以下の通り、

  • 補助率が最大3/4(上限450万円)
  • PC、タブレット等のハードウェアにかかるレンタル費用も補助対象となる
  • 公募前に購入したITツール等についても補助の対象となる

など、使い勝手は非常に良い内容と言えます。

ただし留意すべき点として、こちらのメニューは「補助金」だということです。要件を満たしていればほぼ確実に支給される「助成金」とは異なり、申請したにも関わらず不採択となる可能性もあります。

予算上限額との兼ね合い、他の申請者との競争(申請書の中身で優劣がつけられます)、テレワーク導入前に“IT導入支援事業者”への相談が必須となっているなど、事前にある程度の準備をしておかないと難しいかもしれません。

しかし、使い勝手の良い制度であることは事実です。申請受付も4次締切分が2020年7月10日17:00までとまだ時間も残っていますので、挑戦してみるのも良いでしょう。

参考:IT導入補助金2020 ホームページ

2.自治体独自の助成制度

テレワークのためのサテライトオフィス設置費用の一部を助成する制度を設けている地方自治体もあります。(例)長野県松本市、長野県山ノ内町、富山県富山市(社会福祉法人・NPO法人が対象)など

また、東京都が創設したテレワークの助成制度(事業継続緊急対策助成金)は全国を見渡しても非常に充実しています。事業継続緊急対策(テレワーク)助成金では、PC、タブレット、VPNルーターの購入・設置・保守費用やリース料、コミュニケーションツール使用料も助成の対象で、助成率10/10(上限額250万円)となっています。

まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとして普及し始めたテレワーク。日本のビジネス界において今後さらなる広がりを見せるかどうか、現段階ではまだはっきりとしませんが、「高額の賃料を支払って都市部にオフィスを構え、従業員に通勤手当を支払った上でオフィスに集まって仕事をしてもらう」という従来のビジネスモデルに変容の兆しも見え始めています。事実、オフィスの増床計画を一時ストップしたり、オフィス自体を解約して完全テレワークに移行したりという動きも出始めています。

もちろん、テレワークでは事業として成り立たない業種も数多くありますが、企業の成長、そして従業員のワークライフバランス、両者を実現して持続的な発展を実現していくためにも、テレワークの導入は選択肢の一つになり得るでしょう。その際には国や自治体の支援策をうまく活用しましょう。

補足:この記事では制度をわかりやすく紹介するため、一部内容を簡素化して記述しています。制度詳細については、以下、厚生労働省のホームページでご確認下さい。

参考:働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)