リバースファクタリングとは?通常のファクタリングの違いは

取引先から売掛金の支払いをはやめてほしいと言われたことはないでしょうか。

要望に答えなければ取引を減少・中止されてしまう可能性もありますし、取引先の資金繰り悪化から取引先が倒産し、自分の会社(売掛先)も経営危機に陥る可能性もあります。

このような場合には「リバースファクタリング」が有効です。リバースファクタリングとはどのような仕組みなんでしょうか。通常のファクタリングとの違いやメリット・デメリットを紹介します。

リバースファクタリングとは?

リバースファクタリングとは、売掛先がファクタリング会社に売掛先に依頼して売掛金の支払を前もって行ってもらう仕組みです。

売掛先・取引先・ファクタリング会社の3社で契約を結びます。利用までの流れは以下の通りとなります。

  • 売掛先がリバースファクタリングをファクタリング会社に依頼する
  • ファクタリング会社が審査を行い、通ったら契約を結ぶ
  • 売掛先から得た請求書をファクタリング会社に渡す
  • ファクタリング会社が取引先に請求金額を先払いする
  • 売掛金の支払日に売掛先からファクタリング会社へ手数料と売掛金を支払う

たとえば、現在4月と仮定して、4月中の取引については6月末期日の支払としましょう。

売掛金を取引先に5月末に支払って欲しいと依頼されたのにもかかわらず、資金繰りの関係でそれが難しい場合に、売掛先が依頼してリバースファクタリングを利用すると、5月末にファクタリング会社から取引先に売掛金の金額を支払うことが可能になります。

そして、売掛先は本来の決済日に売掛金の金額と手数料をファクタリング会社へ支払うことで、売掛先は資金繰りを悪化させることなく取引先の要望に答えることができるのです。

通常のファクタリングとの違い

通常のファクタリングの場合は、資金繰りを改善したい売掛金を所有する企業がファクタリング会社に依頼することになります。

しかし、リバースファクタリングの場合は売掛先がファクタリング会社に売掛金の買取を依頼することが大きな違いです。そのため、通常のファクタリングとは逆ということで「リバース」という言葉がつくのです。

リバースファクタリングを利用するメリット

それでは、売掛先がリバースファクタリングを利用するメリットはどんな所にあるのでしょうか。

メリット1.支払いを延ばすことで資金繰りを楽にする

取引先から入金を早くしてほしいと依頼されても、資金繰りが悪いことからその要望に答えられない場合は、取引量を減らされたり、最悪の場合は取引中止となることもあるかもしれません。

優秀な取引先からの商品やサービスの納品がなくなれば、売掛先の経営にも大きく影響してしまうでしょう。そんな時にリバースファクタリングを利用すれば、取引先が望む時に支払いが可能になります

取引先には早く入金され、売掛先は資金繰りが悪化することなく通常通りの支払日にファクタリング会社に支払えば良いのは両社にとってメリットがあるといえるでしょう。

メリット2.取引先にとっては早期の資金調達となる

リバースファクタリングを利用すると、取引先は通常より早く資金調達ができます。資金調達が早期にできることで、資金繰りを楽にしたり、違う投資に資金を回すことができたりなど取引先に喜んでもらえる仕組みなのです。

また、リバースファクタリングを利用すれば、未払いのリスクや支払が遅れる場合に取立する手間も省くことができます。

支払の先延ばしなどで下請法に抵触することを回避できる

たとえば、売掛先(親事業者)が取引先(下請先)に対して不利な条件で契約を結ぶと下請法に抵触する可能性があります。

通常、親事業者と下請先の関係は親事業者の方が強い立場にあります。そのため、資金繰りが悪いからと言って、強い立場を乱用して支払いサイトを延ばしたり、下請けの要望に答えないという行為はしてはいけないことなのです。下請代金支払遅延等防止法には以下のように記載されています。

第4 親事業者の禁止行為
2 支払遅延

(1) 法第4条第1項第2号で禁止されている支払遅延とは,「下請代金を支払期日の経過後なお支払わないこと」である。「支払期日」は法第2条の2により,下請代金の支払期日は,「給付を受領した日(役務提供委託の場合は,下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。次項において同じ。)から起算して,60日の期間内において,かつ,できる限り短い期間内において,定められなければならない」とされている。「支払期日」を計算する場合の起算日は「給付を受領した日」であることから,納入以後に行われる検査や最終ユーザーへの提供等を基準として支払期日を定める制度を採っている場合には,制度上支払遅延が生じることのないよう,納入以後に要する期間を見込んだ支払制度とする必要がある。

参考:下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準

このように、下請法では下請事業者に対して役務提供した日から60日以内、できるだけ早くに支払う必要があり、下請け先の要求に応じて支払を行いたい場合などにリバースファクタリングは有効といえるでしょう。

リバースファクタリングの注意点

では、リバースファクタリングを利用する注意点はあるのでしょうか?

手数料を支払う必要がある

リバースファクタリングを利用することにより、通常の取引では必要ない手数料を支払う必要が出てきます。手数料は売掛先の信用力によりますが5%~10%といわれています。

取扱企業が少ない

ファクタリング会社はたくさんありますが、リバースファクタリングを取り扱うファクタリング会社は数社程度に留まり、非常に少ない現況です。リバースファクタリングを利用したい売掛先は数千万円~で買取を利用したいところが多く、資金力がないファクタリング会社には取り扱いができないからです。

審査に通らなければ利用できない

リバースファクタリングを利用するには当然審査に通る必要があります。赤字経営や税金の未納がある場合、審査に落ちる場合もあるということは覚えておきましょう。

電子記録債権(でんさい)を利用していないと使えない場合も

銀行系ファクタリング会社の「みずほファクター」ではリバースファクタリングとして「みずほ電子債権決済サービス(電ペイ)」を取り扱っています。

このサービスは電子記録債権(でんさい)を取り扱っている企業しか利用できないので、でんさいを利用していない場合は売掛先・取引先共に導入する必要があります。でんさいを導入にあたり、仕組みや利用方法を覚える必要が出てくるので、手間に感じる場合もあるでしょう。

まとめ

リバースファクタリングは通常のファクタリングとは異なり、売掛先が取引先への早期入金をファクタリング会社へ依頼します。取引先が売掛金を早期に回収したいという要望があった場合などに利用を検討してみても良いでしょう。

リバースファクタリングを利用することにより、売掛先としては通常の売掛期日に支払えばよいので資金繰り悪化しませんし、取引先としては早期の資金調達が可能となり、両社にとってメリットがある仕組みです。

また、売掛先(親事業者)が取引先(下請先)に対して支払期限を延長したり、支払の要望を聞かなかったりというのは下請法に抵触する可能性がありますが、リバースファクタリングはそれを回避することが可能です。

ただし、リバースファクタリングを利用すれば手数料を支払う必要が出てきます。また、サービスを提供しているファクタリング会社は少なく、サービスを利用する際にはでんさいの導入が必要という点には注意してください。