介護報酬ファクタリングとは?仕組みや注意点を理解しよう

「介護報酬がもう少し早く現金化できたら、ラクになるのになぁ」と思うことがある介護施設経営者の方や財務担当の方は多いのではないでしょうか。

介護報酬は国保連に請求してから、現金化されるまでに時間がかかるもの。しかし介護施設を運営していると、急にまとまった資金が必要になることもありますよね。介護報酬が振り込まれるまで待てない・・・そんなときに利用したいのが「介護報酬ファクタリング」です。

そもそも介護報酬ファクタリングってなに?

「介護報酬ファクタリング」とは、介護報酬債権を利用した資金調達方法です。介護報酬は、国保連(国民健康保険連合会)に請求を行なってから約2ヶ月後に介護サービス事業者へ振り込まれます。しかし、介護報酬ファクタリングを使えば、契約をしてから最短で翌日には資金を受け取ることが可能。しかも介護報酬債権の譲渡になるため、借入にはならないのです。

介護報酬ファクタリングの仕組み

では、介護報酬ファクタリングの仕組みは具体的にどうなっているのでしょうか。

まず、介護報酬がどのような仕組みになっているのかおさらいします。介護サービス事業者が利用者から受け取る金額は介護報酬全体の10%で、のこりの90%を国保連に請求します。国保連は請求があった介護報酬のチェックを行ない、約2ヶ月後に介護サービス事業者へ報酬を振り込みます。

介護報酬ファクタリングを利用する場合は、「介護サービス事業者」「国保連」「ファクタリング事業者」の3社間で報酬のやりとりが行なわれます。

はじめに、介護サービス事業者が保有している介護報酬債権に対し、ファクタリング事業者が審査を行ないます。審査を通過すれば、介護報酬の約80%が介護サービス事業者に振り込まれます。

その後、国保連からファクタリング事業者へ介護報酬が全額振り込まれ、のこり20%の介護報酬からファクタリング手数料を差し引いた額が介護サービス事業者に振り込まれるといった仕組みです。

介護報酬ファクタリングの流れ

では、介護報酬ファクタリングの具体的な流れはどのようになっているのでしょうか。

まずは介護サービス事業者とファクタリングサービス事業者が契約を交わします。その後、無事債権の審査が完了すれば、介護報酬債権の約80%が介護サービス事業者へ振り込まれます。

介護サービス事業者はファクタリング契約と同時進行で国保連へ「ファクタリングサービスを利用する旨」を伝えます。その際、介護サービス事業者は国保連に対して、介護給付費請求書と介護給付費明細書を送付。そして国保連での審査がおわれば、審査結果通知票が送られてきて、全受取報酬金額を確認します。

全受取報酬金額が確定し、国保連からファクタリングサービス事業者へ振込があったあと、ファクタリング事業者は手数料を引いた金額を介護サービス事業者へ振り込みます。

ここで、「なぜファクタリング事業者は、契約の段階では介護報酬の約80%しか現金化してくれないの?」と思う方もいらっしゃるでしょう。その理由は、介護サービス事業者が提出した介護報酬の請求が100%通るとは限らないから。たとえば「サービス利用者の健康保険証の期限が切れていた」などの理由で提出した請求書と実際の審査後の金額が変わってくるのです。しかも、意外と毎月このような差額が発生します。

そのため先に約80%だけ介護報酬を現金化し、国保連で正確に介護報酬が計算されてから、のこりの金額を支払うという流れになっているのです。

介護報酬ファクタリングのメリット5つ

魅力的に感じる介護報酬ファクタリングですが、メリットについて具体的に理解しておきましょう。ここからは、介護報酬ファクタリングを利用する5つのメリットについてお伝えします。

1.資金繰りを改善できる

「今月、あと少し資金があったら・・・」と思うことがありますよね。このような場合、介護報酬ファクタリングサービスを利用すると、キャッシュフローが改善され、事業の財務状況が健全になります。

2.審査がとおりやすい

ファクタリングサービス事業者が審査対象とするのは、契約者ではなく債権発行者です。介護報酬ファクタリングの場合でいうと、国保連が債権発行者にあたります。

国保連は公的機関のため、倒産するリスクはほとんどありません。そのためファクタリング事業者からの信用度が高く、審査がとおりやすいのです。

3.手数料が安い

繰り返しになりますが、介護報酬は国保連が支払う債権で、信用度が高いのが特徴です。それゆえ、ファクタリング手数料も低めに設定されています。なぜなら報酬の未回収リスクが低いから。

一般的な2社間ファクタリングの場合、手数料が10%を超えることもあります。しかし、介護報酬ファクタリングは3社間取引ではあるものの、手数料が0.25%の事業者も。比べていただくと、かなり手数料が安いことがお分かりいただけるのではないでしょうか。

4.連帯保証人や担保が不要

介護報酬ファクタリングは、もともと介護サービス事業者がもっている介護報酬債権を使って現金化するサービスです。そのため、借入などの際に必要な連帯保証人や担保は必要ない場合がほとんどです。

もし介護報酬ファクタリングで連帯保証人や担保が必要だといわれた場合、その業者は悪徳業者の可能性も否定できません。介護報酬ファクタリングに限らず、ファクタリングでは連帯保証人や担保は必要がないので注意するようにしましょう。

5.金融機関などの信用情報に影響がない

介護報酬ファクタリングは売掛債権の売却で、借金ではないため決算書上で負債に計上されません。金融機関から融資を受ける場合、あまりにも負債が大きいとマイナス評価になることがあります。銀行などから融資を検討しているなら、介護報酬ファクタリングを利用するのもひとつの戦略です。

介護報酬ファクタリングで気をつけるべき3つのポイント

利用するメリットが多い介護報酬ファクタリングですが、気をつけなければならないポイントもあります。ではどのような点に気をつけて、サービスを利用すればいいのでしょうか。

1.審査にとおらないこともある

前述のメリットで「審査がとおりやすい」とお伝えしましたが、審査にとおらないこともあります。それは、社会保険料などの税金を滞納している場合。

実は介護報酬債権は、税金が未納になっている場合に差し押さえられます。社会保険を1度滞納しただけではそれほど心配することはありませんが、悪質な場合には差し押さえの対象になることも。

介護報酬債権が差し押さえられると、ファクタリング事業者は債権を回収することができません。そのため、税金の未納がある場合には審査にとおらない確率が高くなるのです。

2.手数料分だけ受け取る金額が減る

ファクタリングを利用すると、手数料が発生します。たとえば介護報酬が1,000万円・ファクタリングの手数料が2%だった場合、手数料は20万円。つまり、実際に受け取ることができる介護報酬は980万円です。

いくら手数料が安いからといっても、チリも積もれば山となります。ファクタリングを利用すると、本来受け取れる報酬よりも少なくなることは必ず覚えておきましょう。

3.ファクタリングを使いすぎてしまう可能性がある

介護報酬ファクタリングは、本来なら約2ヶ月後に振り込まれるはずの介護報酬をすぐに現金化するサービスです。そのため、ファクタリングを利用すると次の介護報酬の入金までかなり待たなければいけないことも。最悪の場合、自転車操業のように毎月ファクタリングをしなければならなくなる可能性があるのです。

その結果、手数料分の報酬がどんどん減ってしまう事態になりかねません。ファクタリングを利用するときは、本当に必要なときに、計画性をもって利用するように注意しましょう。

介護報酬ファクタリングを利用する手順

ここからは実際に介護報酬ファクタリングを利用する際の手順について、具体的に解説します。

介護報酬ファクタリング事業者へ相談をする

まずはじめに、ファクタリング事業者へ相談しましょう。介護報酬ファクタリングサービス事業者は、一般的なファクタリング事業者と比べてそれほど多くはありません。業者探しはインターネットで検索して探したり、介護サービス事業者の仲間に聞いてみてもいいでしょう。

このあとの章では、介護報酬ファクタリングを扱っているサービス事業者を3つまとめています。ぜひこちらも参考にしてみてください。

介護報酬債権の審査を受ける

契約するファクタリング事業者が決まったら、審査を依頼します。審査には以下のような書類の提出が必要です。

  • ファクタリング契約書
  • 早期入金サービス申込書
  • 債権譲渡通知書
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書、発行から2ヶ月以内の原本)
  • 印鑑証明書(発行から2ヶ月以内の原本)など

ファクタリング事業者と契約し、介護報酬債権の譲渡を行なう

審査がとおれば、正式にファクタリング事業者と契約です。介護報酬債権をファクタリング事業者に譲渡します。

ファクタリング事業者から入金される

あとはファクタリング事業者から入金されるのを待ちます。ファクタリング事業者にもよりますが、最短翌日〜10日程度で介護報酬債権の約80%が振り込まれます。

また、国保連からファクタリング事業者へ介護報酬が全額入金されたあとには、ファクタリング手数料を差し引いた、のこりの報酬金額が介護サービス事業者へ振り込まれます。

介護報酬ファクタリングサービスを提供している3社

前述のとおり、介護報酬ファクタリングサービスを行なっている業者はそれほど多くありません。ここからは、介護報酬ファクタリング事業者の中でもよく知られている3社をご紹介します。

リコーリース株式会社

リコーリース株式会社は東証一部上場企業で、従業員規模が1,000人を超える企業です。一度は社名を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。上場企業のため、コンプライアンスの点でも安心感があります。

リコーリースの介護報酬ファクタリングの手数料は完全非公開。実際に問い合わせた際に、介護サービス事業者自身の事業規模などの情報を伝えることで、手数料が決まります。

入金までのスピードに関しては、介護サービス事業者が毎月10日までに国保連に介護報酬を請求後、リコーリースにファクタリングを申請した場合、約5営業日後に振り込まれます。

参照:リコーリース株式会社

カイポケ(株式会社エス・エム・エス)

「カイポケファクタリングサービス」を提供する株式会社エス・エム・エスも、東証一部上場企業です。

「カイポケ」という介護サービス事業者向けの介護ソフトを提供していて、そのソフトに入力されているデータを使えばすぐにファクタリングサービスを利用できます。また、この介護ソフトを使っていると、追加の事務作業が発生しないのも魅力のひとつです。

ちなみに、これまで株式会社エス・エム・エスと取引がない介護サービス事業者でも、もちろんファクタリングサービスに申し込むことができます。

ファクタリング手数料は〜0.8%で、非常に利用しやすい設定です。審査の通過率も高いと評判のファクタリングサービスです。

参照:カイポケ

豊通オールライフ

豊田通商グループの中に、豊通オールライフがあります。豊通オールライフは福祉用具を扱う企業で、介護事業について幅広く展開している企業です。

豊通オールライフの介護報酬ファクタリング手数料は公開されていませんが、一般的な介護報酬ファクタリングの手数料である〜5%くらいであることが予想されます。入金のスピードに関しては、申請から約5営業日以内に介護サービス事業者へ振り込まれます。

参照:豊通オールライフ

まとめ:介護報酬ファクタリングを有効に使おう

介護報酬ファクタリングは手数料が低く、スピーディーに現金化できるため、資金繰り改善に非常にメリットがあるサービスです。しかし、利用する際には低いとはいえ手数料がかかること、ファクタリングを毎月使い続けるループにはまる可能性があることも覚えておきましょう。

デメリットはあるものの、介護報酬ファクタリングを計画的に使えばとてもメリットが大きな仕組みです。「いま、あとちょっと資金があれば助かる」というときに、ぜひ利用してみてください。