創業融資とは?現役銀行員が教える融資を受けるための3つのポイント

創業融資を受けたいけれど、何から始めればいいのかわからない。銀行から融資を受けたこともないのでイマイチやり方がわからないという人がほとんどでしょう。

  • 創業融資は自己資金なしでも借りることはできる?
  • 創業融資の「保証協会融資」って何?
  • 創業融資をサポートしてくれる人はいないの?

今回はこうしたさまざまな疑問に対し、創業融資を受けるための3つのポイントをご紹介します。銀行員として30年勤務した経験から役に立つと思うポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

創業融資とは?

創業融資とは、新しく事業を始めるために必要な資金を金融機関が支援してくれる制度のことです。

ひとことで創業といっても、実際はいくつかのパターンがあります。

  1. 新規事業への進出(別会社の設立など)
    もともと事業をしていて、今回から新分野に進出する、またはそのための新会社を設立するなどです。厳密には事業の拡大とも考えられますが、広義での創業と見てもらえる場合が多いです。
  2. 個人事業主から法人になる(法人成り)
    個人事業主が法人に変わるだけでは、創業とは言えません。ただし法人設立と同時に、まったく新分野に挑戦するなら、こちらも創業と見なされる場合もあります。
  3. ゼロからの新事業スタート(脱サラを含む)
    これがもっともシンプルな創業です。上記のように形態はさまざまですが、共通しているのは「新しく仕事を始める」ことです。

新しく仕事を始めるには、やはりいろいろとお金がかかります。

創業融資とは「新しく仕事を始めるにはお金がかかる、だから足りない資金を金融機関の融資を受ける」ことと言えます。

創業融資の種類は3つ!

国は「新事業創出」を後押ししたいので、創業する人には補助金や専門融資など色々とサポートをしており、創業融資にもいくつかの種類があります。

  1. 信用保証協会の創業融資(創業保証制度)
  2. 銀行の創業融資
  3. 日本政策金融公庫

創業融資の種類1.信用保証協会の創業融資制度「創業関連保証」

信用保証協会の融資保証制度に、創業に特化した「創業関連保証」があります。

ちなみに信用保証協会とは、法律(中小企業信用保険法)により設立され、融資保証を通じて中小企業の信用を補完して資金調達を支援する公的組織のこと。要は「国が作った保証人」です。

創業関連保証の概要

創業関連保証は、個人が創業したり、新たに会社を設立して事業を行ったりする場合に必要な資金の調達を支援する保証制度のことです。

  1.  融資の対象者は次のいずれかに該当する創業者
    (1)事業を営んでいない個人で、1ヶ月以内に事業を開始する
    (2)事業を営んでいない個人で、2ヶ月以内に会社を設立し、事業を開始
    (3)中小企業である会社が新たに会社を設立し、事業を開始する
    (4)事業を営んでいない個人が事業を開始し、5年を経過していない
    (5)事業を営んでいない個人が設立し、5年を経過していない会社
    (6) 中小企業として会社設立し、設立後5年を経過していない会社  
  2. 資金使途:創業により行う事業の実施のため必要となる設備資金および運転資金
  3. 保証限度額(融資限度額):2,000万円
  4.  融資利率:金融機関による所定の利率
  5.  保証料率:0.9%(年)
  6.  融資期間(返済年数):10年以内

参考:創業関連保証 | 千葉県信用保証協会

創業融資の種類2.銀行の創業融資(プロパー融資)

銀行のプロパー融資(信用保証協会の保証なしで融資する、直接貸付とも呼ぶ)にも、創業に特化したオリジナル商品があります。

ここではきらぼし銀行(東都民銀行、八千代銀行、新銀行東京が合併してできた東京都にある第二地銀)の創業融資「創業サポートローン」を例にあげます。

きらぼし銀行「創業サポートローン」の概要

  1. 融資の対象者:創業5年未満の法人または個人事業主で(中略)
    創業支援を担当する専任コーディネーターによるモニタリング(原則3年間)が可能であり、以下のいずれかの要件を満たすお客さま
    (1)TOKYO創業ステーションでのプランコンサルティングを受け、終了証を発行された方
    (2)公益財団法人東京都中小企業振興公社の「事業可能性評価事業」で「事業の可能性あり」と評価された方  
  2. 資金使途:運転資金、設備資金
  3. 融資限度額:500万円
  4. 融資利率:金融機関による所定の利率
  5. 保証料率:プロパー融資につき不要 ※その他 手数料等が必要となる場合あり
  6. 融資期間(返済年数):5年以内

参考:創業サポートローン |資金調達|きらぼし銀行

創業融資の種類3.日本政策金融公庫の「新創業融資制度」

日本政策金融公庫(国民生活事業)には「新創業融資制度」があります。

新創業融資制度の概要

  1. 融資の対象者は次の次の1~3のすべての要件に該当する方
    (1)創業の要件:新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
    (2)雇用創出等の要件:「雇用の創出を伴う事業を始める方」、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を 始める方」又は「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」等
    (3)自己資金要件:新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
  2. 資金使途:創業により行う事業の実施のため必要となる設備資金および運転資金
  3. 保証限度額(融資限度額):3,000万円
  4.  融資利率:条件による所定の利率
  5.  保証料率:不要
  6.  融資期間(返済年数):各種融資制度で定めるご返済期間以内

参考:新創業融資制度|日本政策金融公庫

創業融資を受ける4つのメリット

創業融資を受けるメリットは、以下の通り。

  • 創業融資してくれた銀行は「メインバンク」として親身な付き合いができる
  • 銀行、銀行員は新事業創出にやりがいを感じているので、Win-Winの関係が期待できる
  • 創業融資をすると、融資した責任も生じるため追加融資やリスケ(業況不振時の返済軽減措置)にも応じてもらいやすくなる

一度、創業融資を受け取ることができれば、その後も長期にわたって支援が期待できます。

創業融資を受けるための3つのポイント

創業融資を受けるためのポイントは3つです。

  1. 適切な事業計画を作成する
  2. 専門家に任せきりにするのではなく、パートナーシップを重視する
  3. 熱意、最後はとにかく熱意

ポイント1.適切な事業計画を作成する

創業融資を受ける際は、とにかく「事業計画」が重要視されます。事業計画を立てていないのは「私は無計画です!」と宣言しているようなもので、適切な事業計画を作成してからでなければ、創業融資の相談をするべきではありません。

事業計画を作成する際のポイントは、以下。

1.「どうやって返済するのか」(返済原資の捻出方法)を明確にしておく

一般的な事業計画では「どのようにして利益を生み出すかか」というシナリオが描かれています。銀行側から見ると、その利益は融資したお金の「返済原資」になります。

借主側がどうやってお金を生み出し、返す予定なのか?返済原資の捻出方法を銀行が重視している点を押さえておくようにしましょう。

2.売り上げや利益の予測数値は「保守的」に

売上や利益の予想は「保守的」が鉄則です。バラ色の計画ではそれこそ「絵に描いた餅」になってしまいがち。あまりに低く見積もる必要もありませんが、現実的に達成可能な数値を計画するようにしましょう。

この辺のさじ加減は、正直かなり難しいです。そこで、専門家のサポートが必要になります。次のポイントでご紹介します。

ポイント2.専門家に任せきりにするのではなく、パートナーシップを重視する

銀行員の立場からすると、税理士、会計士、行政書士など専門家のサポートは必要と考えます。

やや酷な表現にはなりますが、事業計画の素人が作成した資料では、銀行は「YES」と言ってもらうのは難しくなるでしょう。その点、プロは場数を踏んでいるので、事業計画を作る際の要所は押さえています。

ただし、専門家に依頼する際も「人選」が重要になってきます。

たとえば「費用ばかり全面に出すプロ」はお金目当てが見え見え、得てしてこうした人種は創業融資が出ても出なくても関係ない、つまり頼りにならないケースが目立ちます

それよりも「うるさいくらいに熱意を持って計画を作り、ときには共同経営者のように課題を共有してくれるプロ」もいます。彼らなら、金だけもらって頼れないプロより何倍もチカラになってくれるはずです。

またそういった熱意あるプロは、意外と料金が良心的なケースが多いです。また熱意あるプロは、経営者の気持ちや意図を引き出し、あるいは経営者に自分で考えさせようとします。

この場合、依頼する側も専門家に任せきりにするのではなく、熱意を持って事業に向き合い専門家とパートナーシップを築くことが大事です。

ポイント3.熱意、最後はとにかく熱意

たとえば上述した事業計画のように、丸投げでは熱意がない、自発的でないと宣伝するようなものです。銀行、銀行員は「熱意」を重視します。そもそも人は論理では動きません、最後は感情、つまり熱意によって動かされるのです。

このようにお伝えすると勘違いされる方もいるのですが、熱意とは計画に基づいた根拠のあるヤル気のことであり、無根拠な精神論、根性論とは異なります。

  • ヤル気があれば何とかなる
  • いざとなれば俺一人で会社を切り盛りするよ

このような精神論、根性論を持ち出すと、かえってマイナス評価されてしまいます。

熱意は好きだが、無計画はきらい、ここもさじ加減がむずかしいところなので、やはり「熱意のあるプロ」にアドバイスを求めるのも有効です。

まとめ

ここまでを振り返ると、以下のようになります。

  1. 適切な事業計画を作成する
  2. 専門家に任せきりにするのではなく、パートナーシップを重視する
  3. 熱意、最後はとにかく熱意

もう一つ参考に、融資とは借金の申込みですから「貸してくれ」という表現は決して間違いっていません。ただし、創業融資の場合「貸してくれ」はNGワードになります。

融資の中でも、特に創業融資の申込みでは銀行員にネガティブな印象を与えるのは、極力避けるべき、つまり「物は言いよう」なのです。創業融資では「貸してくれ」ではなく「必要なので創業融資を申込みます」が正解です。どうせ意味が同じなら、ポジティブにいきましょう。