個人事業主にかかる事業税とは?対象者や課税条件をご紹介

個人事業主にかかる税金のひとつに、事業税があります。個人事業税は所得税や住民税のような有名な税金ではありません。そのため、自分が個人事業税の課税対象だと知らず、納付書が手元に届いてからあわててしまうことも。

そうならないために、この記事では個人事業税の基本や対象者、経理処理などについてくわしく解説します。

個人事業税とは

個人事業税とはその名の通り、個人が営む事業のうち、地方税法などで定められた事業(法定業種)に対してかかる税金です。

現在、法定業種は70業種あり、ほぼ全ての事業が対象となります。

税率は3%〜5%で、業種により異なります。個人事業税は国に納める税金ではなく、都道府県に納めます。

個人事業税はすべての個人事業主に納付義務があるものではなく、ある一定の所得をこえると納付しなければなりません。

自分が個人事業税の課税対象になるのかは、後述している「個人事業税の対象者はこんな人」の中でくわしくお伝えします。

参照:「個人事業税」東京都主税局

個人事業税は経費計上できる!

収入印紙などは経費計上ができる税金として有名ですが、実は個人事業税も経費計上ができます。

個人事業税は「公のサービスを受けるための費用」なので、その性質上経費として扱われるのです。

同じ税金でも、所得税や住民税、消費税などは経費計上できないので注意しましょう。

個人事業税の対象者はこんな人

地方税法七十二条の二 3によると、個人事業主のうち、事業税を納める必要がある人は以下のように定義されています。

個人の行う事業に対する事業税は、個人の行う第一種事業、第二種事業及び第三種事業に対し、所得を課税標準として事務所又は事業所所在の道府県において、その個人に課する。

引用:「電子政府総合窓口e-Gov」総務省行政管理局


もっとシンプルな条件にお伝えすると、以下の2つの条件に該当する人は、事業税を納付する必要があります。

  • 納税義務がある業種に該当している人
  • 所得金額が290万円以上の人

ここからは、この2つの条件について解説します。

個人事業税が課税される業種

個人事業税が課される業種は全部で70種類あります。以下の表を確認し、あなたの事業が該当するか確認しておきましょう。


税率業種
第1種事業(37業種)5%物品販売業、保険業、金銭貸付業、
物品貸付業、不動産貸付業、製造業、
電気供給業、土石採取業、
電気通信事業(放送事業を含む)、
運送業、運送取扱業、船舶定係場業、
倉庫業、駐車場業、請負業、
印刷業、出版業、写真業、席貸業、
旅館業、料理店業、飲食店業、周旋業、
代理業、仲立業、問屋業、両替業、
公衆浴場業(第三種事業以外のもの)、
演劇興行業、遊技場業、遊覧所業、
商品取引業、不動産売買業、広告業、
興信所業、案内業、冠婚葬祭業
第2種事業(3業種)4%畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種事業(30業種)5%※
医業、歯科医業、 薬剤師業、獣医業、
弁護士業、司法書士業、行政書士業 、
公証人業、弁理士業、税理士業、
公認会計士業、計理士業、
社会保険労務士業、コンサルタント業、
設計監督者業、不動産鑑定業、
デザイン業、諸芸師匠業、理容業、
美容業、クリーニング業、
公衆浴場業(銭湯)、歯科衛生士業、
歯科技工士業、測量士業、
土地家屋調査士業、海事代理士業、
印刷製版業、装蹄師業
あん摩・マッサージ・
指圧・はり・きゅう・
柔道整復その他の医業に類する事業

※あん摩等医業に類する事業及び装蹄師業の税率は「3%」

この表を確認していただいてわかる通り、個人事業税はほぼすべての業種を網羅しています。ちなみに、個人事業税の対象外となる業種は、農業・林業・スポーツ選手・漫画家などです。

参照:「個人事業税」大阪府

個人事業税の納付義務があるのは年収290万以上の人

個人事業税には、290万円の事業主控除があります。このため、所得が290万円に満たない事業者の場合は事業主控除によって個人事業税が0円となり、事業税を納める必要はありません。

また、個人事業税が課される業種であっても、所得が290万円以下であれば納税の必要はありません。

個人事業税の計算方法

個人事業税の計算式はとてもシンプルで、自分の事業の税率さえ把握しておけば、簡単に税額を計算することができます。

個人事業税の計算式は以下の通りです。

個人事業税 = (所得(収入-必要経費) - 各種控除 - 事業主控除290万円) × 税率

補足ですが、所得とは前年1年間(1月1日〜12月31日)までの事業所得、不動産所得のことを指します。

参照:「個人事業税」大阪府

個人事業税の税率は業種ごとに異なる

個人事業税の税率は以下の通りです。

  • 第1種事業 5%
  • 第2種事業   4%
  • 第3種事業   5%(あん摩等医業に類する事業及び装蹄師業は3%)

前述している業種をまとめた表にも記載しているので、自分の業種の税率が何%かチェックしてくださいね。

猶予制度について

以下の要件に該当するときで、1度に納税できない場合は、申請によって納税が1年以内の期間猶予されることがあります。

なお、納税の猶予がされた場合は、その期間中の延滞金が一定の割合で免除されます。

  • 本人の財産につき、災害(震災、風水害、火災など)又は盗難に遭ったとき
  • 本人又は生計を一にする親族が、病気や負傷をしたとき
  • 事業を廃止、休止したとき
  • 事業に大きな損失を受けたとき

資金繰りが大変なときは、各都道府県税事務所へ相談するようにしましょう。

参照:「納税について」大阪府

個人事業税は「いつ」「どうやって」申告・納付するの?

では個人事業税は、どのように申告して、納付をするのでしょうか。申告の有無から、納付の時期、納付方法まで具体的にお伝えします。

個人事業税の申告方法

確定申告で所得税の申告を行なうと、税務署から各都道府県税事務所にに情報が共有されます。

都道府県税事務所があなたの個人事業税を計算し、納付書が送られてくるという仕組みです。そのため、個人事業税は個別に申告する必要はありません。

個人事業税の納付時期

原則として8月末と11月末に、個人事業税を納付することになっています。ただし、税額が1万円以下の場合は、全額を8月に納付します。

納税通知書に納付期限が記載されているので、通知書が届いたら必ずチェックするようにしましょう。

個人事業税はクレジットカードでも納付できる

個人事業税はパソコンやスマホから、インターネット経由でクレジットカードで納付することができます。

金融機関・コンビニ・各種窓口で納付する場合は、現金のみの支払いとなるため、クレジットカード納付はできません。また、電子納付や口座振替で納付することも可能です。

個人事業税の勘定科目と経理処理について

繰り返しになりますが、個人事業税は経費計上できる税金です。そのため、「租税公課」という勘定科目を使い、経理処理をします。

少し話が逸れますが、租税公課は「租税」と「公課」という2つの言葉がつながった勘定科目です。租税とは経費にできる税金を指し、公課とは公的な負担金を意味します。

ここからは、個人事業税を納付したときの具体的な経理処理方法についてお伝えします。

経理処理の仕訳例

以下は現金で納付したときの仕訳です。

借方金額貸方金額適用
租税公課60,000現金60,000個人事業税納付

仕訳例のように、個人事業税の勘定科目は「租税公課」を使用します。しかし、「租税公課」だけでは収入印紙を購入したのか、何なのか後からわからなくなるため、適用欄に「個人事業税納付」と記録しておきましょう。

まとめ:自分が課税対象者か把握して、納税に備えよう

個人事業税は、都道府県に納める地方税で、事業と年間所得によって金額が決まります。まずはあなたの事業が「法定業種に該当し、年間所得が290万円以上か」を確認し、納税が必要がどうか把握しましょう。

個人事業税も所得税のように、毎年納付が必要な税金が、自分で申告をする必要がありません。そのため条件によっては納税の必要がなく、つい忘れられることがある税金です。しかし、その税率は3%〜5%となっていて、決して少ない金額ではありません。

個人事業税の存在を忘れていると、納税通知書が届いたとき、資金繰りにあわててしまうことも。個人事業税が課税される仕組みを正しく理解し、あらかじめ納税に備えておくことが大切です。