フリーランスは会社員と比べて賃貸物件の審査に落ちやすい傾向にあります。そのため、どうすれば家を借りられるのか困っている人が多いかもしれません。
この記事では、
- フリーランスが賃貸物件を借りる時に大事なポイント
- 物件を借りる時に必要な書類は?
- 物件を借りるときの留意点は?
など、フリーランスが賃貸物件を借りるためにどうすれば良いのかについて解説します。忙しい場合は、見出しを読めば理解できるように解説しているので、ぜひ読んでみてください。
フリーランスが賃貸物件の審査に落ちやすい2つの理由
フリーランスは会社員と比べると賃貸契約が難しいと言われています。実際に、ネット上や知り合いのフリーランスの方に話を聞いても、
- 家賃を数カ月分先に支払うと言ったのに審査に落ちた
- 大家さんがOKをくれなかった
- 知り合いでも困っている人が多いので、シェアハウス利用している人が多い
といった声をよく聞きます。
フリーランスが賃貸物件の審査に落ちやすい理由のほとんどは「収入が安定していない」「信用力が低い」です。
フリーランスは収入が安定していない
フリーランスは会社員のように、毎月収入が安定していません。ある月の収入は100万円だったのに、次の月は10万円ということもあります。
家を貸す大家さんの中には、フリーランスは収入が安定していないから家賃を滞納されるかもと考える人も多いです。
つまり、収入が多ければ、必ずしも家を貸してくれるわけではありません。収入の多さよりも毎月収入が安定しているかという点を見られます。
フリーランスは信用力が低い
フリーランスは社会的信用が低い傾向にあります。なぜなら、フリーランスは収入が安定していないというイメージがあるからです。
もちろん、会社員よりも稼いでいるフリーランスもたくさんいますが「フリーランス」というだけで、実際に上記のような見られ方をしてしまうことはよくあります。
たとえ、会社員よりも稼いでいたとしても、フリーランスという理由だけで「住宅ローン」「車のローン」「クレジットカード」の審査にも通りにくくなります。
こういった事情があるため、やむを得ずシェアハウスを借りるフリーランスも多くいるのが現状です。
フリーランスが賃貸物件を借りる際に大事な5つのポイント
フリーランスだからといって、絶対に賃貸契約が結べないわけではありません。
これから解説する5つのポイントをクリアすれば、フリーランスでも賃貸物件を借りられる可能性があります。
- 賃貸物件の家賃目安は収入は30%未満に抑える
- 過去にカードの滞納や家賃の滞納をしていると、審査に落ちやすい
- 税金対策をやりすぎると所得が低すぎるので、審査に通りにくくなる
- フリーランスなりたての場合は、さらに審査が厳しくなる
- 印象や清潔感は重要
1.賃貸物件の家賃目安は収入の30%未満に抑える
賃貸物件を借りる時にどのぐらいの家賃の物件を借りるかは重要な点です。
エイブルネットワーク株式会社大坂不動産事務所によると、一般的に借りられる物件の家賃上限は月収の3分の1とされています。つまり、月収が30万円の人は家賃が10万円までの物件であれば借りられるということ。
しかし、この数字はあくまでも上限なので、誰でも家賃が月収の3分の1の物件であれば借りられるわけではありません。
さらにフリーランスは会社員よりも信用が低いです。そのため、家賃は、月収の3分の1をさらに下回る水準までと考えておくべきです。
2.過去にカードの滞納や家賃の滞納をしていると、審査に落ちやすい
過去にカードの滞納や家賃の滞納をしていた場合、審査に落ちやすくなります。
なぜなら、賃貸契約の際に個人の信用情報をチェックされるから。例えば、過去にカードの支払いを滞納した場合は個人信用情報機関に情報が記録されています。
家賃を滞納したことがある人は支払い能力が低いと判断されるので、審査に落ちる可能性が高くなるのです。ただ、信用情報の閲覧はクレジットカード会社しかできません。
そのため、クレジットカード会社など信販系の家賃保証会社を利用しない限り、カードの支払いの滞納はばれないでしょう。
一方、カードの支払いの滞納よりも注意するべきは、家賃の滞納歴。とくに、賃貸契約を結ぶ際に「家賃情報データベース」を利用する保証会社を指定された場合は、滞納がバレる可能性が高いです。
家賃情報データベースには、あなたの個人情報と保証した物件名、保証期間、代位弁済の有無などの情報が登録されています。滞納記録は5年間残るので、審査に落ちる可能性が高くなります。
3.税金対策をやりすぎると所得が低すぎるので、審査に通りにくくなる
所得税や住民税を抑えるために、経費や控除を使って、所得を抑えているフリーランスの方も多いのではないでしょうか。
しかし、所得を抑えすぎると、少ない所得から物件の家賃を支払わないといけなくなるので、大家さんに不安を与えてしまいます。
このように、過度に所得を抑えると、審査が厳しくなるので注意が必要です。
4.フリーランスなりたては信用がないので賃貸の審査が厳しい
フリーランスになりたての場合、審査が厳しくなるので、注意してください。審査が厳しくなる理由は、以下の2つです。
- 所得を証明する書類を提出できないから
- フリーランスとしての信用が低いから
何年もフリーランスとして活動している人であれば、毎年売上を上げて活動していることがわかるので、貸主側も「今後も家賃を支払ってもらえるだろう」と予想できます。
一方、フリーランスになりたての人の場合、継続的に支払いできる能力があるかどうか評価することができません。途中で事業を辞めて、収入が途絶え、家賃を支払えなくなる可能性も大いに考えられるでしょう。そのため、フリーランスになりたてだと審査に通らないことも多いのです。
しかし、家賃をきちんと払えるだけの貯金があることを認められたり、家賃保証会社に入ったりすることで、フリーランスになりたての場合でも審査に通る可能性はあります。
5.印象や清潔感は重要
貯金がたくさんあり、収入が安定していても、賃貸契約をする際の印象が悪い人や清潔感のない人は、審査に通りづらくなることがあります。
なぜなら、大家さんは、なるべく「トラブルを起こさない人」や「綺麗に家を使ってくれる人」と賃貸契約を結びたいから。
清潔感がなかったり、印象が悪かったりすると、それだけで「トラブルを起こしそうな人だ」と勘違いされてしまうかもしれません。
逆に、人柄が良かったり、清潔感のある格好で対応すれば「安心できそうな人だな」と良い印象を与えることができます。そのため、普段から身だしなみやには気をつけておきましょう。
参考:フクマネ不動産/【賃貸契約】入居審査における家賃と年収の基準まとめ
フリーランスが賃貸物件を借りる時に提出を求められる書類
フリーランスが賃貸物件を借りる時に提出を求められる書類は以下の5つです。
これらを事前に用意しておけば、スムーズに契約手続きができるので、早く入居ができます。
- 課税証明書(住民税)
- 納税証明書(所得税)
- 確定申告書の控え1期分
- 身分証明書
- 銀行通帳の写しや残高証明書
1.課税証明書(住民税)
「課税証明書」は、1月1日〜12月31日までの1年間の所得額によって計算された住民税がわかる書類。
住民税が確定するのは毎年6月なので、それまでに引っ越しする場合は、前々年の証明書を提出します。課税証明書は、家を借りる年の1月1日に在住していた住所のある役所でもらえます。
市区町村によっては、郵送での手続きにも対応しているので、事前にホームページや電話で確認しておきましょう。
2.納税証明書(所得税)
「納税証明書」は、1月1日〜12月31日までの1年間の所得金額や所得税として納めた金額の証明書です。
納税した税務署で発行ができ、窓口だけでなく郵送での受け取りもできます。
不動産会社によっては、納税証明書の代わりに、確定申告書の控えの提出でも受け付けてもらえます。
3.確定申告書の控え1期分
「確定申告書の控え」は確定申告をした後に税務署から送り返される控えのこと。重要な書類なので、きちんと保存しておくようにしましょう。
もし紛失した場合は、再発行に1ヶ月近く掛かるため、急いでいる場合は、納税証明書を提出してください。
確定申告の申告方法は「白色申告」と「青色申告」がありますが、審査に通りやすいのは、青色申告です。
社会的信用も青色申告のほうが高いので、毎年3月15日までに「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出しておきましょう。開業したばかりの人なら、開業後2ヶ月以内に提出すればOKです。
4.身分証明書
賃貸契約の際は、保険証が必ず必要です。その他、「運転免許証」「パスポート」のいずれかを一緒に持っておきましょう。
保険証は「国民健康保険証」よりも「各業種の健康保険組合」を利用したほうが審査に通りやすいです。
というのも、保険には「信用が高い健康保険」と「そうでない健康保険」の2種類があるから。詳しくは、下記の表を見てください。
名称 | 信用度 | 特徴 |
社会保険 | 高い | 会社員のみ |
各業種の健康保険組合 | 普通 | 各業種の団体に所属している人のみ |
国民健康保険 | 低い | 誰でもOK |
実際に「文美健康保険」に入っていたため、入居審査がスムーズに進んだ事例もあります。もし、審査に通る自信がない人は、各業種の健康保険組合に入っておくとよいでしょう。
5.銀行通帳の写しや残高証明書
フリーランスになりたてで、所得の証明ができない場合は、取引先からの入金記録がわかる「銀行通帳の写し」や「残高証明書」を代わりに提出します。
ただ、経費や控除を引いた正確な所得はわからないため、提出したからと言って、審査に通りやすくなるわけではありません。
参考:お部屋探しのコツや知識まとめブログ / よー清水のFreeなイラスト生活/ スモビバ
フリーランスが賃貸物件を借りる時の3つの留意点
フリーランスが賃貸を借りるときの留意点は以下の3つです。
- 連帯保証人が用意できない場合は、保証会社を利用する
- 自宅兼事務所として借りる場合は、事前に大家さんに伝える
- 家賃は経費にすることができる
順番に解説します。
1.連帯保証人が用意できない場合は、保証会社を利用する
賃貸契約をする場合、あなたが家賃を支払えなくなった場合に備えて、代わりに家賃を支払ってくれる「連帯保証人」を用意しなければなりません。
しかし、身近に連帯保証人になってくれる人や親には頼みづらいという人もいるかもしれません。
そのような場合、家賃保証会社にお金を支払うことで、連帯保証人を用意しなくても賃貸契約ができることがあります。
ただし、審査が厳しい保証会社もあるため、審査に落ちてしまった場合は、別の保証会社の物件を探すか、連帯保証人を用意する必要があります。
2.自宅兼事務所として借りる場合は、事前に大家さんに伝える
借りようとしている住居を事務所として利用したい人もいるかもしれません。その場合は、契約前に大家さんに伝えておきます。
自宅兼事務所は、不特定多数の人間が自宅に入るため、トラブルのもとになると考える大家さんもいるからです。
法律で定められていませんが、入居後のトラブルを避けるために、事前に伝えておきましょう。
3.フリーランスは家賃は経費にすることができる
フリーランスは「自宅兼事務所」として賃貸契約した場合、家賃を経費にすることができます。ただし、家賃の全額を経費にすることは不可能です。経費として認められるのは、事務所として使っている部分のみ。
算出方法は、家の床面積のうち、仕事場として利用している場所の床面積の割合を求めます。
例えば、家賃10万円、家の床面積が100㎡、事務所として利用している場所の床面積が40㎡の場合、経費にできる家賃の金額は以下の通り。
- 事務所の床面積の割合を求める40㎡÷100㎡=40%
- 家賃10万円に40%を掛けた金額である4万円が経費として計上できる
このように、自宅を勤務先として利用する場合は、毎月の家賃を経費にすることが可能です。
まとめ
本記事では、フリーランスが賃貸物件を借りるためにどうすれば良いのか解説しました。
ポイントは、
- フリーランスは収入が不安定で、信用も低いので賃貸の審査に通りにくい
- 賃貸物件を借りるときの家賃の目安は収入の20%〜25%
- 賃貸契約時には必要書類として、所得を証明できる書類などが必要
- 自宅を事務所と兼用して契約した場合、家賃の一部を経費できる
フリーランスは会社員と比べると賃貸の審査に落ちることも多いですが、5つのポイントをクリアしていれば、審査に通る可能性は上がります。