「会社をやめてフリーランスになりたい」そう考えている方は多いのではないでしょうか。通勤もない、上司もいない。会社勤めの人間から見たら夢のような環境に思えるフリーランス。しかし、その実態はどうなのでしょうか?今回はフリーランスと会社員の違いについてみていきます。会社員からフリーランスになろうとしている方は特に必読です。
フリーランスと会社員はどう違う?
では、フリーランスと会社員はどこが違うのでしょうか。
フリーランスと会社員で大きく違う点は、まず雇用形態です。
フリーランスが会社や他のフリーランスと仕事をする際は、主に「業務委託請負」という形態となり業務委託契約が交わされることが一般的。業務を請け負っている期間が契約期間となり、単発または数ヶ月などスポットで契約することが一般的です。
一方、会社員の場合は自分の勤める会社と雇用契約を結ぶことになります。その場合、正社員となると、その契約に期間の定めはありません。そこがフリーランスと会社員の大きな違いになります。
その他にも、フリーランスと会社員の違いは多々あります。そちらについては、これから双方のメリット・デメリットという観点から比べていきましょう。
フリーランスのメリット・デメリット
ここからはフリーランスのメリットとデメリットについてみていきます。
フリーランスのメリットは、皆さん想像がつくところも多いのではないでしょうか。その反面、デメリットはどうでしょう。「今まであまり意識していなかった」という方も多いはず。そういう方にこそ、しっかり読んでいただきたい項目になります。
フリーランスのメリット
「フリーランスになりたいなぁ」会社勤めに疲れた方なら、月に1度は、いや毎日だってそう思っている人はいますよね。一般的に考えるフリーランスのメリットとしては、次のようなものがあげられます。
- 仕事時間・仕事場所が自由
- 通勤がない
- 仕事を選べる
- 年収の上限がない
- 人間関係もある程度選べる
まず、フリーランスは自分で仕事をする時間や働く場所が選べます。いつ始めて、いつ終わるかは自分次第。また、働く場所も自分次第です。満員電車に揺られて通勤する必要はありません。自宅で働きたい人、お洒落なカフェで働きたい人、ノマドワーカー的に海外を転々として働きたい人、すべての人が自分の望む働き方を選ぶことができます。
そしてフリーランス最大のメリット。フリーランスは自分で仕事を選ぶことができます。会社のように与えられた役割や与えられた仕事をこなす必要はなく、またその枠に収まる必要もありません。自分で仕事を作り、自分で仕事をとってくる。そのため、したくない仕事はしないという選択をすることだってできるのです。
フリーランスのデメリット
一見、良いことだらけに思えるフリーランスですが、もちろんデメリットもあります。
- 社会保険料を全額自分で考え、支払う必要がある
- 休業の際の手当てがない
- 自分で仕事を探してくる必要がある
- 自分で税金の計算や申告をしなければならない
- 介護や出産時に仕事を休むと収入がゼロになる
- 所得税、住民税が会社員より高くなりがち
- 老後資金を自分で蓄える必要がある
- 厚生年金がない
- 収入が安定しない
会社員からフリーランスになる場合、フリーランスのデメリットとして見落としがちなのが社会保険料。今は給料から天引きされているのであまり意識していないという方も多いでしょう。社会保険料は会社勤めの方は会社と従業員で半額ずつ負担することになっています。しかし、フリーランスになると全額自己負担。そのことを知らずに、税金の高さに驚くフリーランス1年生は後を絶ちません。
フリーランスは他にも金銭面でデメリットになることが数多くあります。所得税や住民税も会社員のころより増え、また個人事業税もかかります。その上、厚生年金もなくなってしまいます。支出は増えるのに、老後資金の準備も自分でしなくてはなりません。もちろん退職金もありません。自由が手に入る反面、自分で行わなければならないことが増えてしまうのです。
また忘れてはならないデメリットとして、収入が安定しないということがあります。フリーランスの収入は、自分がその月どれだけ働いたかによって決まります。会社員のように、毎月決まった額が口座に振り込まれるわけではないのです。
会社員のメリット・デメリット
続いて、会社員のメリット・デメリットについてみていきます。会社員のデメリットは、会社勤めの方でしたら皆さんそれぞれ心当たりがありますよね。しかしその逆、メリットはどうでしょうか。実は、会社員はフリーランスに比べてこれだけ良いところがあったのです。
会社員のメリット
「フリーランスになりたい!」そう願う方が見落としがちになってしまうのがこちら。会社員のメリットです。
- 仕事、役割が与えられる
- 肩書きがある
- 社会保険料を半額負担してもらえる
- 福利厚生が会社負担で受けられる
- 毎月給与が振り込まれる
- 休業時の手当てがある
- 社会的信用がある
- 退職金がもらえることがある
会社員は、会社に所属しているだけで社会的な信用がある程度得られます。それは賃貸の契約や銀行の融資、クレジットカードの発行の際などに実感することができます。「フリーランスは家が借りられない」「新しいクレジットカードが作れない」そんな噂をよく耳にします。そして、それは現実なのです。
「会社に勤めているのだから大丈夫だろう」その信頼感から成り立っていることが、今の日本社会には数多くあります。
また、フリーランスと比較して会社員には金銭的・制度的にお得になる面がたくさんあります。その際たる例が社会保険料の半額負担。会社員の場合、社会保険料は会社と従業員で半額ずつ支払うことになっています。しかし、フリーランスは全額自己負担。これは収入面で大きな差が出てきます。
そして見落としてはいけない会社員の大きなメリット。それは、毎月会社から決まった額の給料が振り込まれるということ。この点は、月の売り上げによって収入が毎月左右されるフリーランスとの大きな違いです。
会社員のデメリット
「言われなくてもわかってるよ!」と思っている方も多いでしょう。会社員のデメリットには、その一部として以下があげられます。
- 転勤がある
- 通勤がある
- 仕事時間が固定される
- 年収に上限がある
- 人間関係が変えられない
会社員は、フリーランスに比べて自由にできない面が増えてきます。仕事時間や仕事場所、そして一緒に働く相手など、自分の意志で変えられないものが数多くあります。
また、年収に関してもそう。最近は成果主義の会社も増えてきましたが、古くからの日本企業にはまだまだ年功序列での給与体制が根強く残っています。どれだけ能力があっても、年齢に応じた給与しか支払われない。そんなことが往々にして起こり得てしまうのです。
フリーランスから会社員になるときはよく考えて!
ここまで、フリーランスと会社員のメリット・デメリットについてみてきました。フリーランスのメリットばかりみていて、今までデメリットについてよく考えてこなかったという方もいるのではないでしょうか。
実際、フリーランスには良い面がたくさんあります。しかし、それと同時にデメリットもあります。そのことをよく考えずにフリーランスになってしまうと、失った後「こんなはずじゃなかった・・・」と後悔してしまうこともありえます。
メリットだけ見ずにデメリットも見た上で決断すること。会社員からフリーランスへの転身を考えている方は、しっかりデメリットも受け止めた上で決めるように心掛けましょう。
まとめ
フリーランスと会社員、それぞれにメリットがあり、またデメリットもあります。会社を辞めフリーランスになろうと考えている方は特に注意が必要。フリーランスは会社員のように社会保険料を会社が負担してくれたり、また有休や介護・育児休暇といった制度がありません。そのことを考えずにフリーランスになって、「知らなかった・・・」と後悔しては後の祭り。すべて自己責任です。
会社員からフリーランスを目指すとき、勢いで会社を辞めることは思い止まりましょう。その前にすべきことがあります。フリーランスと会社員のメリット・デメリットの比較検討です。どちらについてもしっかりと考え、そしてその上で「よし、フリーランスになるぞ!」と決断できたなら次のステップ。退職届の準備にとりかかりましょう。