個人事業主の社会保険についてまるっと解説!会社員との違いも

会社員は給料から天引きされている社会保険料。しかし、個人事業主は加入手続きから納付まですべて自分で行う必要があります。

今回のテーマは、個人事業主の社会保険についてです。

「社会保険って何?」「会社員の頃とどう違うの?」と疑問符だらけの方はこちらの記事で一緒に社会保険について確認していきましょう。

社会保険とは?

まず「社会保険とは何か?」という基礎からみていきましょう。社会保険とは、公的医療保険・年金・労災保険・雇用保険・介護保険の5つのことを指します。

日常生活で陥る可能性のあるリスク対し、国民全体でお金を出し合って備える相互扶助の制度です。いざというときの個人の金銭的負担を軽減することができます。

個人事業主が支払うべき社会保険について

会社員の場合、社会保険料は毎月会社の給料から天引きされています。そのため、自分の社会保険料がどう計算され・いくらなのかあまり意識をしていない人の方がほとんどですよね。

しかし、個人事業主はそうはいきません。会社員とは違って、手続きも納付も自分で行う必要があるからです。ここからは個人事業主が支払うべき社会保険についてみていきます。

01.国民健康保険または健康保険組合

病気や怪我をした際にありがたい公的医療保険制度。病院に行ったときにそのありがたみを実感した方も多いのではないでしょうか。基本的に、個人事業主は国民健康保険に加入する必要があります

自治体が運営している保険制度となるため、加入するには各自治体で手続きをします。会社員を退職した方は、退職翌日から14日以内に手続きを行ってください。

もし業種的に何かの組合に加盟できそうな個人事業主の方は、組合の健康保険への加入も検討しましょう。文芸美術国民健康保険組合や東京浴場国民健康保険組合、全国土木建築国民健康保険組合などがあります。

それぞれ制度の内容は異なっていますので、比較検討の上選ぶようにしてください。

02.国民年金

国民年金は、老後に一定額を受け取ることができる年金制度。個人事業主は国民年金に加入することになります。

国民年金は、会社員が加入している厚生年金に比べて将来もらえる支給額が少なく、これだけで老後資金を賄うにはやや不十分な制度です。そのため、資金に余裕のある方は国民年金基金やiDeCoを活用して自分で年金額を増やすようにしましょう。

03.労災保険

仕事中や通勤中に怪我をした際にお金が給付される労災保険。この労災保険は従業員を対象とした制度であるため、基本的に個人事業主は加入対象外です。業種によっては特別加入できる業種もあります。

04.雇用保険   

リストラや自己都合で退職した際に失業手当を受け取ることができる雇用保険。労災保険に続き、雇用保険も個人事業主は加入対象外となっています。こちらも従業員に対する制度だからです。個人事業主が従業員を雇った場合は、その従業員を加入させる義務が生じます。

05.介護保険

介護を必要とする人が少ない負担で医療を受けられるためにある介護保険。40歳以上から支払う必要がある保険です。個人事業主も支払う必要があります

40歳から64歳までは公的医療保険料と一緒に支払います。65歳以上になると原則年金から天引きされます。

会社員と個人事業主の社会保険の違い

会社員と個人事業主の社会保険には違いがあります。具体的にどこが違っているのでしょうか?この章で詳しくみていきましょう。

個人事業主当事者(本人)のケース|公的医療保険と年金

公的医療保険には2種類あります。健康保険と国民健康保険です。会社員は「健康保険」、個人事業主は「国民健康保険」に加入することになります。

国民健康保険は健康保険に比べ手当が手薄くなってしまいます。出産手当や傷病手当もありません。可能な方は会社員時代の健康保険に継続して加入することを検討してみてください。退職前に2か月以上健康保険料を納めていた人は、退職後手続きをすれば任意で会社の健康保険に継続加入できます。

しかし、個人で手厚い保険に入られている方などはあえて健康保険を継続する必要のない場合もあります。それぞれにかかる金額や手当を比較した上、どちらに加入するか選ぶようにしましょう。

公的医療保険だけでなく、年金も会社員とは異なります。会社員は「厚生年金」、個人事業主は「国民年金」に加入します。

こちらも前述の通り、会社員の厚生年金に比べると個人事業主の国民年金は受給額が少なく、年金だけで老後を送ることは不可能です。iDeCoや国民年金基金をはじめとする他の年金制度を活用して、自ら年金額を増やしていった方が賢明です。

そして影響が大きいのはここから。この二つの制度、会社員の場合は会社と個人とで折半となります。つまり、個人が給与から天引きされる額は総支払額の半額となります。

しかし、個人事業主には負担をしてくれる会社がありません。そのため、全額自分で支払う必要があります。ここが社会保険における会社員と個人事業主の大きな違いです。

個人事業主の配偶者・家族のケース

会社員は年収130万円以下の配偶者を扶養家族とし、社会保険に加入させることができます。しかし、個人事業主の場合は、配偶者が年収130万円以下でも扶養家族として社会保険に加入させることはできません。扶養家族のメリットは受けられないことになります。

社会保険の扶養家族におけるメリットには、会社員本人のみの健康保険料で家族全員が医療費負担の軽減を受けることができたり、また配偶者分の年金を支払う必要がなかったりとお得なもの。これらが個人事業主には一切ありません。

医療費の自己負担分を軽減させるためには、配偶者分も国民健康保険料を納める必要があります。また、年金も配偶者分が必要です。

家族が多い会社員の方が脱サラをする際は「会社員の頃と比べて総支払額がいくら増えるのか?」をしっかり検討の上資金繰りをするようにしましょう。

個人事業主が従業員を雇ったらどうなる?

個人事業主が従業員を雇った場合、社会保険を負担する必要があります。元・会社員の方でしたら会社に半額負担してもらっていた経験がありますよね。そのときの会社側の対応と同じことを個人事業主でも求められます。

つまり、加入や納付の手続きを行ったり、社会保険料を半額負担する必要があるのです。労災保険と雇用保険は従業員が1人から、また社会保険は5人から対象となります。但し、従業員が5人以下でもその半数以上が希望した場合は社会保険に加入することができます。

個人事業主の社会保険と確定申告

確定申告の際、社会保険料はどのように扱えばいいのでしょうか。「絶対に払わないといけないお金だったのだから経費では?」と誤解してしまいがちですが、実は個人事業主が支払った社会保険料は経費にはできません。

しかし、代わりに確定申告では控除にすることができるため、所得を減らすことができます。確定申告時に社会保険控除への入力を忘れないようにしましょう。

まとめ

個人事業主は会社員と違って自分で社会保険の加入手続きをする必要があります。それだけではなく、医療保険や年金も全額自己負担。会社員に比べると自分で支払う額が多くなってしまいます。

脱サラをされた方の中には納付書を受け取って初めて気づく方もおり、毎年納付時期になると悲痛の声がSNS上から聞こえてきます。

会社員と個人事業主の社会保険は違いがたくさん。すべて自己責任となる個人事業主は、社会保険に関する知識も自ら勉強していく必要があります。