個人事業主の住民税の基礎知識をまるっと解説!期日や支払い金額は?

個人事業主にとって頭が痛いのは「住民税」の支払いです。なんとか、住民税の支払いを抑えたいですよね。

  • 住民税の計算方法を知りたい
  • 住民税を抑えるためにはどうすれば良いのか?
  • 個人事業主が住民税を支払わなくてすむ基準っていくら?

本記事を読めば、住民税についての基礎知識、住民税の計算方法、個人事業主が住民税を支払う際の留意点などが理解できます。

時間がない場合は、見出しを読むだけでも理解できるので、ぜひ読んでみてください。

住民税とは、都道府県民税と市町村民税を合わせた金額のこと

住民税とは、「都道府県民税」と「市区町村民税」を合わせた金額のことです。さらに都道府県民税と市区町村民税は、それぞれ「均等割額」と「所得割額」で構成されています。

均等割課税所得に関わらず定額で課税される
所得割前年の課税所得により支払う金額が変わる

均等割は基本的に課税所得に関わらず、同じ金額が課税されます。一方で、所得割は、「課税所得」により税金が変動します。

課税所得とは、所得から経費と控除額を引いた金額のことです。

個人事業主が住民税を納付する時期は年に4回

住民税には「普通徴収」と「特別徴収」の2つがあり、納付時期が異なります。

徴収方法 特徴納付時期
普通徴収自分で支払う一括払いか分割払い(※)
特別徴収会社の給料から天引き6月〜翌年5月までの毎月

※支払い時期は6月末・8月末・10月末・翌年1月末の4回

このうち個人事業主は、「自分で確定申告をして住民税を納める」ので普通徴収です。普通徴収の場合は、「一括払い」か「分割払い」を選択できます。

住民税の金額は確定申告の課税所得が確定してから計算され、住民税の納付書が届くのは、「毎年6月中旬頃」です。

個人事業主の住民税(所得割)の計算方法とは?

住民税の所得割を計算するためには、以下の手順に従って計算をしなければなりません。

  1. 課税所得を計算
  2. 課税所得に住民税の税率10%を掛けて計算
  3. 税額控除額を計算
  4. 調整控除を計算

それぞれの計算方法について順番に解説します。

住民税の所得割の税率は課税所得の10%

住民税の金額は、以下の計算式で求めることができます。

住民税=前年の課税所得×税率10%-税額控除+均等割

つまり、最初に前年の課税所得を計算する必要があります。課税所得は、売上から経費や控除額を引いて算出します。

住民税の税率は、「都道府県民税」が4%、「市区町村民税」が6%の合計10%です。所得割の金額は、前年の課税所得により変動します。

年収年収300万円年収500万円年収1,000万円
課税所得×税率10%の金額30万円50万円100万円

このように、所得割は年収が高ければ高いほど金額が高くなります。

税額控除額の計算を行えば、住民税を抑えることができる

次に、「税額控除額」を計算します。税額控除額とは、課税所得に税率を掛けて計算された税額から直接適用される控除のこと。

税額控除は「医療費控除」「生命保険料控除」「配偶者控除」などが認められています。

また、青色申告をしている個人事業主の場合は、「青色申告特別控除」も適用されます。住民税で控除できる金額は、所得税の控除額の10%です。

所得税で最大65万円の控除を受けると、住民税でも65,000円の控除が受けられます。忘れずに申告しておきましょう。

住民税の主な税額控除額
基礎控除一律33万円
扶養控除33万円〜45万円
配偶者控除33万円※
生命保険料控除・支払った保険料が15,000円以下は全額
・15,001円〜40,000円以下は保険料の2分の1+7,500円
・40,001円〜70,000円以下は保険料の4分の1+17,500円
・70,000円以上は35,000円
医療費控除以下の1.2のいずれか少ない方。
1.200万円支払った医療費-保険補填-所得金額の5% 
2.10万円
青色申告特別控除65,000円

※70歳以上の場合は、38万円

他にもふるさと納税をすれば、寄付金税額控除を受けることができます。ふるさと納税で受けられる控除額については以下の通りです。

  • 住民税からの控除(基本分)
    =(寄附した金額 – 2,000円)× 10%
  • 住民税からの控除(特例分)
    =(寄附した金額 – 2,000円)×(90% – 所得税率 × 1.021)

例えば、私は、2019年度の確定申告で10,000円のふるさと納税を行いました。この場合に控除される金額は以下のように計算します。

  • 住民税からの控除(基本分)=(10,000円 – 2,000円)×10%=800円

一方、住民税からの控除特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合は、基本分ではなく、特例分で計算します。

私の所得税率は、前年度195万円以下だったので、5%です。

  • 住民税からの控除(特例分)
    =(10,000円 – 2,000円)×(90% – 5% × 1.021)
    =6,942円

このように控除の仕組みを利用すれば、住民税の所得割を抑えることが可能です。

参考:ふるさと納税で住民税はいくら安くなる|ふるさとチョイス / 所得控除に関する資料|財務省 / 青色申告特別控除制度とは?適用要件による控除額の違いも |確定申告ソフト「マネーフォワード クラウド確定申告」

調整控除を行い、住民税と所得税の控除額の差を埋める

「調整控除」とは、住民税と所得税の控除額の差を埋めることが目的に行なわれるものです。調整控除は、課税所得が「200万円を超える」か「200万円以上」かで控除額が変わります。

合計課税所得金額が200万円以下の場合、

  1. 人的控除額の差の合計額
  2. 合計課税所得金額

のいずれか少ない金額のうち、5%の金額が控除されます。人的控除額とは、配偶者控除や扶養控除などのように特定の人がいることで認められる控除のこと。

また合計課税所得金額は、

  • 合計所得金額=課税所得 – 課税退職所得金額 + 課税山林所得金額

の計算式で算出できます。

課税退職所得金額は、勤務先から支給される収入金額から退職所得控除額を差し引いた金額の2分の1の金額。課税山林所得金額は、総収入金額 – 必要経費 – 特別控除を引いた金額です。

一方、住民税の合計課税所得金額が200万円を超えている場合は、

  • 人的控除額の差の合計額−合計課税所得金額− 200万円

の5%の金額が控除されます。

住民税の均等割は住んでいる地域により一律で決められている

住民税の均等割は一律の金額です。そのため、課税所得によって支払う金額が変わることはありません。

ほとんどの自治体では、「都道府県民税」が1,000円、「市区町村民税」が3,000円の合計4,000円です。

ただ、令和5年までは、地方自治体の防災対策に充てる臨時措置として都道府県民税と市区町村民税がそれぞれ500円加算されます。

そのため、都道府県民税1,500円、市区町村民税3,500円を支払う必要があります。

また、愛知県名古屋市や兵庫県豊岡市など一部の自治体では均等割の金額が高いです。

住民税の「超過課税」の状況(平成30年度)については、総務省のサイトでも紹介されています。

住民税の種類都道府県民税市区町村民税
均等割37都道府県1団体
所得割1県1団体

データ引用元:総務省超過課税の状況(平成30年度)

このように、住民税は所得割と均等割をそれぞれ計算して算出します。

参考:超過課税の状況|総務省 / 愛知県名古屋市 / 兵庫県豊岡市 / 東京主税局 / 個人事業主のかんたん税金計算|弥生

個人事業主が住民税を支払う時の4つの留意点とは?

個人事業主が住民税を支払う時の留意点は4つあります。

  1. 課税所得が0円・赤字の場合は住民税を支払わなくてよい
  2. 住民税を支払わなければならなくなる課税所得の基準は100万円前後
  3. 個人事業主が支払う住民税は経費にできない
  4. 住民税の支払い方法は、クレジットカード支払いがおすすめ

順番に解説します。

1.個人事業主の場合、課税所得が0円・赤字の場合は住民税を支払わなくてよい

個人事業主の場合、主な収入源として考えられるのは「不動産所得」や「事業所得」です。

不動産所得や事業所得が収入源の場合、課税所得が0円になったり、赤字になったりするケースもあります。

この場合は、住民税を支払う必要がないのでしょうか?

結論から言うと、住民税は課税されません。「総所得金額」が一定の水準を下回った場合、住民税の「所得割」「均等割」のどちらも非課税になるからです。

また、青色申告をしている場合、赤字を最長3年間繰り越すことができます。課税所得や総所得金額が赤字でも、必ず確定申告はしておきましょう。

2.住民税を支払わなければならなくなる合計所得金の基準は35万円以下

個人事業主が住民税の課税をされない基準は(独身の場合)、「合計所得金額」が35万円以下です。

各自治体では、住民税が非課税になる基準が定められています。東京23区在住の場合は(独身)、合計所得金額が35万円以下です。

ただし、愛知県みよし市や茨城県水戸市など一部の自治体では、非課税の基準がさらに低いです。

また、「配偶者がいる場合」「自分の家族が扶養に入っている場合」は、住民税の非課税基準は変動します。

東京の練馬区役所に電話で問い合わせをしたところ、所得割と均等割の非課税基準は、以下のように決められていることがわかりました。

非課税の対象配偶者・扶養親族
の有無
課税されない合計所得金額
均等割と
所得割
×35万円以下
均等割と
所得割
○ 35万円×(X)+21万円
所得割のみ×35万円以下
所得割のみ35万円×(X)+32万円

X:本人・配偶者・扶養親族の数

このように、配偶者と扶養親族の人数によって住民税の非課税基準は違うのです。

参考:愛知県みよし市 / 茨城県水戸市 / 東京主税局 / 合計所得金額|大阪市

3.個人事業主が支払う住民税は経費にできない

個人事業主の住民税はあくまでも「あなた自身に掛かる税金」です。事業のために必要な費用ではないため、経費として認められません

ちなみに帳簿に記入する際は、事業主貸により処理を行います。

4.住民税の支払い方法は、クレジットカード支払いがおすすめ

住民税を支払う方法は、以下の5つがあります

  1. コンビニ
  2. 役場などの窓口
  3. Pay-easy
  4. 口座振替
  5. クレジットカード支払い

最もおすすめの納付方法は、「クレジットカード支払い」です。クレジットカード支払いを利用するメリットは以下の3つ。

  1. クレジットカードのポイントが貯まる
  2. インターネットから簡単に支払いが可能
  3. 手元にお金がなくても支払いができる

クレジットカード支払いは、インターネットから簡単に支払いができます。場所や時間の都合に合わせて、いつでもどこでも支払いができるので便利です。

また、納付額に応じてクレジットカードのポイントも貯まります。

年間の住民税が30万円でポイント還元率が1.0%のクレジットカードで支払いをすると、3,000円もポイントを貯めることが可能です。

ただし、クレジットカードの支払に対応していない自治体もあるので注意してください。

自分の地域がクレジットカードで支払いができるかは、「Yahoo!公金支払い」のサイトから簡単に調べることができます。

まとめ

本記事では、個人事業主の住民税について解説しました。

ポイントは、

  • 住民税は、「都道府県民税」と「市区町村民税」の2つがある
  • 住民税は「所得割」と「均等割」で構成されている
  • 住民税の金額を抑えるためには、「税額控除額」を利用する
  • 住民税が課税されない基準は、独身のケースで合計所得金が35万円以下

個人事業主が住民税の支払いを抑えるためには、住民税の仕組みを知ることが大事なのです。