医療ファクタリングの仕組みは?メリット・デメリットを紹介

診療報酬ファクタリング、介護報酬ファクタリング、調剤報酬ファクタリングなど「医療系のファクタリング」について初心者の方にもわかりやすく解説する。(概要、メリット・デメリット、各ファクタリングの説明、会社・業者、使い方など)

医療ファクタリングの仕組みは?メリット・デメリットを紹介

売掛債権を手数料を支払うことにより買い取ってもらう「ファクタリング」という資金調達方法が注目されています。このファクタリングは一般企業だけではなく、医療業界でも需要が増えているようです。医療ファクタリングの仕組み、利用するまでの流れ、利用することによるメリット・デメリットを紹介します。

医療ファクタリングとは?

医療ファクタリングとは、医療機関向けの資金調達方法の一つです。一般企業などでも幅広く利用されているファクタリングは、商取引で発生した売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで売掛債権の期日前に現金化できる仕組みです。

医療機関においては診療報酬・介護報酬・調剤報酬(レセプト)をファクタリング会社に買い取ってもらうことで資金調達ができます。

診療報酬ファクタリング

診療報酬とは、患者が国民健康保健や社会保険などの保険証を提示することにより医師などから受ける医療行為に対して、保険制度から支払われる料金のことです。診療費は3割患者負担で7割が国負担になります。(小学生未満・70〜75歳は2割負担、75歳以上で一般的な所得の場合1割負担)

この保健制度により支払われる部分については、患者が実際に診療を受けた月の翌々月21日~30日に国として「国民健康保険団体連合会」「社会保険診療報酬支払基金」経由で支払われることになります。つまり、診療から回収までには60日〜90日かかりサービス提供から資金回収までには時差が生まれるのです。

このように診療から回収までの時差が生まれることで、人件費などの費用の支払が苦しくなる場合もあるでしょう。ファクタリングで回収日より前に現金化できると資金繰りが楽になります。

介護報酬ファクタリング

介護報酬とは介護保険が適用される介護サービスに対して支払われる報酬のことです。介護費用の負担は所得により2割、3割というケースもありますが基本的には1割となっており、9割部分については後から国保連から受け入れる形となります。具体的には1か月分のサービスをまとめて介護給付費請求書を国保連に送付することにより保健制度分について給付費が支給される流れです。介護報酬は利用者の自己負担が少ないため、それだけ介護給付金も大きくなるので、回収までの資金繰りが厳しくなりやすいです。そのため、介護報酬の国負担分を買い取ってもらうファクタリングを利用することで資金繰りが改善されます。

調剤報酬ファクタリング

調剤報酬とは、病院や診療所で発行された処方箋に対して、薬剤師が行う調剤に対する報酬のことです。診療費と同じく、基本的には3割が自己負担で残り7割に保険が適用され、後から国保連/社保から支払われることになります。実際に調剤をしてからこの給付金が支払われるまでには60日〜90日かかるので、早く現金化したい場合に国負担分をファクタリング会社に買い取ってもらうファクタリングの利用を検討しても良いでしょう。

医療ファクタリングを利用する流れ

  1. 診療報酬・介護報酬・調剤報酬などの医療報酬をファクタリングとして利用する流れは以下の通りです。
  2. 医療機関は医療報酬を国保連・社保に請求。医療機関が、ファクタリング会社に対して国保連や社保に請求済みの医療報酬債権の買取を依頼。
  3. 国保連・社保に医療報酬債権売却の承諾を得る。これにより3社間(医療機関・ファクタリング会社・国保連/社保)でファクタリング契約が成立。
  4. ファクタリング会社から医療機関へ、手数料を差し引いたレセプトの買取代金が入金される。
  5. 国保連・社保からファクタリング会社が診療報酬を受け取る。

基本的には医療機関・ファクタリング会社・国保連/社保の3社間契約となります。ただし、一部業者では医療機関・ファクタリング会社の2社間契約のサービスを提供しています。この場合、国保連/社保から直接ファクタリング会社へ入金されるのではなく、一旦医療機関の口座に入金された後にファクタリング会社へ支払うことになります。

医療ファクタリングを利用するメリット

開業したばかりの病院などでは、診療から資金回収までの時間が開けば開くほど資金繰りが悪化してしまう可能性があります。病院を運営する以上、人件費などの経費の支払をしなくてはいけないため、患者の自己負担分だけでは費用の支払を賄えないことも出てくるでしょう。このような場合にファクタリングサービスを使い早期に現金化すると、資金繰りに余裕を持たせることができます。

資金調達をするにあたり、金融機関などから融資を受けるという方法もありますが、融資を受けると貸借対照表上に負債が増えます。負債が大きすぎて「財務状況が悪い」と判断されれば、融資額を減らされたり、金利が高くなったりということもあるでしょう。しかし、ファクタリングの場合は負債計上されません。そのため、貸借対照表上の見栄えも良く見せることができますし、万が一に備えた融資枠の温存にもなります。

また、融資を受ける場合は審査などに時間がかかり、担保や保証人の差し入れが必要となります。ファクタリングの場合は、金融機関の融資に比べると審査も早く、担保や保証人の差し入れが不要という点でも負担が少ないです。

さらに、医療報酬は国から給付金が支払われるため、ファクタリング会社としても回収不能となるリスクが極めて低くなります。そのため、手数料水準も低く抑えることができ、業者にもよりますが1%を切るところもあるようです。金融機関による融資でも担保や保証人の差し入れなしでこのような金利に抑えることは難しいため、手数料負担は少なく資金調達ができる点ではメリットが大きいといえるでしょう。

医療ファクタリングを利用するデメリット

医療報酬は国から支払われるという点で信用力が高いですが、医療報酬として国保連や社保へ請求したものの、審査に通らないという可能性もあります。そのため、買取金額は70%〜90%に設定されていることが多く、国保連/社保への請求額全てを買い取ってはもらえない点がデメリットです。

また、一度利用すると止めにくくなる点もデメリットです。ファクタリングには手数料がかかるので、手数料負担を減らすためにも計画的に利用額を減らすなどした方が良いでしょう。

さらに、ファクタリングを規制する法律がないため、一部常識外の手数料設定をする悪徳な業者も紛れています。そのことを知らずに高い手数料を支払い損をしてしまうこともあるかもしれません。実際に利用開始する際には口コミを調べたり、他社と比較したりして悪徳業者に引っかからない自己防衛が必要となります。

まとめ

医療報酬の国負担分が支払われるまでには、60日〜90日ほどかかります。その間にも人件費などの支払が発生しますが、資金力がない場合には資金繰りが悪化して経営が苦しくなるケースもあるでしょう。このような場合に、国保連や社保からの入金前に現金化できる医療ファクタリングは非常に便利なのです。

医療ファクタリングのメリットは以下の通りです。

  • 資金調達をしても貸借対照表上に負債が増えない
  • 融資に比べると手続きが簡単で時間もかからない
  • 国から支払われるので信用度も高く手数料水準も抑えられる

しかし、請求額すべてを買い取ってもらえるわけではない点と常識を超えた手数料を取る悪徳業者も存在する点がデメリットです。ファクタリング会社により掛目や手数料は異なりますので、いろいろ比べてから利用した方が良いといえるでしょう。