個人事業主が家賃を経費で落とすには?ルールや注意点について解説!

個人事業主の場合、収入から必要経費を引いた所得の部分に税金がかかります。自宅兼仕事場としている物件についても、家賃を経費にできることはご存知でしょうか?家賃を経費にできると所得を抑えることができ、節税に繋がるのです。

ただし、経費として計上するためにはさまざまなルールや注意点があります。

個人事業主の家賃は経費で落とせる?

個人事業主が仕事用に事務所などを借りて仕事をしている場合は、「地代家賃」という項目で経費計上できます。

しかし、自宅を仕事場としても利用している個人事業主の方も多いのではないでしょうか。このようなケースでも、仕事として利用している部分に関しては「地代家賃」として必要経費にすることができるのです。家賃を経費計上できると所得を抑えることができ、節税にも繋がります。

また、家賃だけではなく光熱費や電気代、水道代、駐車場代なども仕事で使っている分を按分計算して経費計上することも可能です。

個人事業主の賃貸における家賃はどのように按分計算すれば良い?

それでは、賃貸で自宅を借りて仕事場としても利用している場合、どのように按分計算すれば良いかを説明します。

使用している面積と時間で決める

自宅兼仕事場として利用している場合、線引が曖昧になることもあるでしょうが、仕事分を計算するには使っている面積や時間で決めます。

例)床面積50平方メートル、家賃10万円のマンションを自宅兼仕事場として借りている。このうち、25平方メートルを事務所として使っている場合は、5万円を仕事分の家賃として経費計上する。

白色申告と青色申告ではルールが異なる

また、確定申告には白色申告と青色申告がありますがこの二つでは少しルールが異なります。

白色申告で家賃を按分する場合

白色申告をする場合、仕事で利用する割合が50%超の家事関連費しか経費にすることができないというルールになっています。その場合は1LDKのうち1部屋をまるまる仕事部屋に使っているという場合であれば家賃の半分を経費計上できるでしょう。逆に自宅で仕事をしているとしても、仕事で利用する割合が50%に満たない場合は必要経費として計上することは原則認められないのです。

ただし、国税庁の法令解釈通には以下のような記載があります。

第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。

国税庁|第4款 必要経費等の計算

仕事として利用する割合が50%以下の場合でもしっかりと理由が説明できれば経費計上して問題ないと捉えることができます。

参考:岩永龍太郎税理士事務所 福岡・北九州の若い税理士|最近の個人事業確定申告事情【自宅兼事務所は経費にならない!?】

青色申告で家賃を按分する場合

青色申告の場合は、複式簿記を使い帳簿をきちんとつけるという前提で申告することになります。青色申告特別控除55万円(※1)があり、簿記での記録は煩わしいですが節税のために選ぶ人も多いです。赤字が出た場合に損失分の金額を翌年から最長3年間繰り越すことができるという点でもメリットがあります。

青色申告を利用すると家事関連費について「事業相当額を合理的に区分できる金額」を経費に計上できます。

※1 平成30年度に税制改正が行われ、令和2年分の所得の確定申告から、青色申告特別控除はそれまでの65万円から55万円に変更となりました。65万円の控除を受けるためには、これまでの要件に加えe-Taxによる申告が必要です。

参考:国税庁|令和2年分の所得税確定申告から65万円の青色申告特別控除の適用要件が変わります

家賃として経費計上する目安は5〜7割程度

上記の通り、賃貸で借りている物件を自宅兼仕事場として利用する場合、面積や時間で按分計算して経費算入することが可能です。しかし、自宅でベッドルームなど仕事以外にしか使わないスペースがあるのにもかかわらず、家賃のほとんどを経費として計上してしまうと、「所得を減らして税金を減らそうとしているのでは?」と疑われてしまう可能性もあるでしょう。そのため、明確なルールがあるわけではありませんが、家賃で経費計上するのは全体の5〜7割に抑えておくのが無難でしょう。

税務調査に備えて説明できる根拠があれば大丈夫

家賃を按分する時の考え方や計算は、もちろん実際に仕事で利用している分だけを必要経費とするベきです。しかし、「絶対にこう計算すべき」という正解がないので曖昧になっているところもあります。

もし税務調査が入った際に、家賃として計上している分が多すぎると判断されれば、修正した申告を行ない追徴課税を支払わなければいけない可能性もあるでしょう。そんなことにならないためにも「なぜそのような計算にしたのか」ということを根拠を持って説明できるようにしておくことが大切です。

仕事場が他にあっても自宅家賃を経費にできる

仕事場が自宅以外にある場合でも、仕事を持ち帰って自宅で仕事をすることがあるのであれば、自宅の家賃についても経費算入できます。

ただし、仕事場がメインで自宅で仕事をするのは1日数時間という場合なら50%を経費計上するのは多すぎると指摘される可能性もあります。実態に即した分を経費として計上するようにするべきといえるでしょう。

生計を一する親族への家賃は経費にできない

たとえば、父親が所有する自宅や配偶者のマンションに同居して、そこで一緒に暮らしながら仕事もしているという個人事業主の方もいらっしゃるかと思います。この場合、建物を所有する親族に対して家賃や生活費として支払っていたとしても経費としては認められないので注意が必要です。

この基準は厳しく、生計を一する親がテナントを所有していて、他のテナントからの不動産所得が発生していたとしても、子から親に対して支払うテナント料は家賃として経費にできないのです。

また、親と別居していたとしても、親に生活費を援助してもらっている場合など、別居の親に家賃を払ったとしても経費にできません。

一方、同居していても2世帯住宅などで食費や光熱費などの生活費を全く別にしている場合は、同居していたとしても家賃として認められます。同居の有無より生計を一にしているかが家賃を経費として計上できるかのポイントとなるのです。

参考:税理士 涌井大輔事務所

個人事業主の持ち家の場合は住宅ローンを経費にできない

個人事業主が家を購入して住宅ローンを支払っている場合は、その住宅ローンの元金を必要経費として計上することはできません。ただし、以下の費用については経費計上することが認められています。

  1. 固定資産税
  2. 住宅ローンの利子
  3. 火災保険料
  4. 減価償却費

これらは、家賃を必要経費として按分計算する時と同様に、仕事で使っている割合に応じて経費計上する必要があります。

まとめ

個人事業主は、賃貸で借りている自宅兼仕事場の物件に支払う家賃を必要経費にすることが可能です。ただし、家賃全額を経費にすることはできず、仕事で利用する面積や時間で按分計算する必要があります。

確定申告で白色申告をしている場合は、事業に使っている割合が50%以上であることが計上できるルールになっています。ただし、50%未満でも「必要である部分を明らかに区分することができる場合」は経費として算入することが可能です。

一方、青色申告の場合は仕事として利用する割合が50%未満でも必要経費にすることができます。

また、生計を一する親族に支払う家賃は経費算入できませんし、自宅を購入して住宅ローンを支払っている場合も元本については経費にでないので注意してください。

ただし、これらのケースでは、固定資産、住宅ローンの利子、火災保険料、減価償却費については事業として利用している割合を按分して経費計上ができます。