家事按分とは?個人事業主の節税の味方【対象費用と按分方法】

個人事業主の節税において外すことのできない家事按分。しかし、「難しそう」「よくわからない」といった偏見が先行して、手を付けていないという方も多いのではないでしょうか。

今回はそんな家事按分について簡単に解説していきます。これができるようになるだけで、確定申告時の税金額がお得に変わってきますよ。

家事按分とは?

家事按分とは、事業とプライベートの共用で使っているものを按分して事業の費用として計上することを指します。例えばプライベートと事業共用の支出が1,000円分あったとして、300円分を事業の費用として計上するような仕組みです。

自宅で作業をすることのあるフリーランスや個人事業主の方は、事業とプライベートの堺があいまいになりがち。仕事でも使っているし、プライベートでも使っている。そんな費用を特定し、事業として使用した分だけ経費として参入することができます。

事業とプライベートの共用で使っているものすべてが対象となるわけでなく、また金額の算出にも適切な根拠が必要となります。「何が家事按分の対象になるのか」「どうやって家事按分の金額を出すのか」はここから先で解説していきます。

家事按分のメリットー節税ができる

家事按分には大きなメリットがあります。それは税金を安く抑えることができること。そのポイントは所得にあります。

確定申告をする際、所得税は1年間の所得額によって税金額が変わってきます。所得額のレンジに合わせた税率が決められており、それに所得額を掛けて所得税額を算出します。そのため、所得が低ければ低いほど税金額は安くなります。

所得は、売上から費用を引いた額で計算されます。家事按分を行うと、家事按分を行わなかった場合に比べ費用額が増加します。それに伴い所得は減少。よって、税金額も安くなるという仕組みです。

また、青色申告か白色申告かによって、計上できる家事按分の額が変わってきます。青色申告は家事按分した金額を全額費用として計上することができます。

一方、白色申告は違います。白色申告の方が法律上の要件が厳しくなっていますので、白色申告で家賃按分を行う際は事前にしっかりと法律を確認するようにしましょう。

家事按分のデメリットー計算・管理が面倒

メリットにはデメリットがつきもの。もちろん家事按分にもデメリットがあります。それは計算と管理が面倒なことです。

家事按分を行うためには、対象となる費用額を把握し、それを適切な割合でもって按分する必要があります。何が対象となるのか判別し、そして適切な割合はどのくらいなのか計算する必要があります。

対象となる費用によって金額も割合も変わってくるため、対象が多ければ多いほど計算も管理も面倒になります。

また、家事按分に該当する費用には毎月発生する費用が多くあります。そのため一度だけの計算ではなく、毎月毎月金額を把握し、割合を算出する必要があるのです。

クラウド会計ソフトでデータ連携しておけば家事按分が楽に

家事按分のデメリットを軽減させる手段として、クラウド会計ソフトを利用するという手段があります。

家事按分で面倒なところは、毎月の金額の管理と計算です。クラウド会計ソフトはクレジットカードや銀行の入出金をデータ連携し取得することができます。そのため、カード支払いや銀行引き落としで支払いをしている費用のデータは自動で会計ソフトに反映することができます。

つまり、家賃や電気代といった自動引き落としやカード払いが多い項目は、毎月請求書を確認せずとも自動的に金額を把握することができるのです。金額がわかればあとは按分割合を決めて按分するだけとなります。

システムによっては、事前に家事按分の割合を設定しておけば自動で仕訳が計上されるものもあります。そのため家事按分を簡単にしたい場合は、クラウド会計ソフトの利用を検討してもいいでしょう。


難しい?個人事業主の家事按分の方法

家事按分は何を家事按分するのか決め、按分割合を決めてしまえば作業自体は難しいものではありません。

例えば、電気代5,000円の30%相当を事業用として家事按分すると決めさえすれば、あとの計算は5,000円×30%=1,500円分と非常にシンプル。決して難しくはありません。

それなのに利用していない個人事業主が多い理由は「対象としていい費用がわからない」「どのように按分していいかわからない」ことが原因であると考えられます。

一度理解してしまえば、家事按分は個人事業主にとって節税の強い味方です。ここから先で対象費用と按分方法について理解を深め、次の確定申告では節税目指して家事按分に挑戦してみましょう。

家事按分の計算方法

家事按分の計算方法は費用に合わせて多数あります。

例えば自宅をプライベートと事業で兼用している場合の家賃。その場合の按分には、部屋数で按分する・面積で按分する・仕事時間で按分するなどが考えられます。

仕事用とプライベート用で使用する部屋を明確に分けている場合は部屋数で家賃を按分することが適切です。しかし、気分によって仕事をする部屋を変えていたり、そもそも1部屋しかなかったりすると部屋数での按分はできなくなります。

その場合は、面積か時間で按分をすることになります。部屋の何割を仕事用として利用しているのかや一日のうち仕事とプライベートの時間割合はどのくらいなのかによって、家賃を按分していきます。

どちらの方法を使って按分するのかは自分で決めてしまって構いません。他人から見ても妥当であると認められる方法であればどちらを選んでも問題ないのです。

その際は、どういう方法で按分をしたのか何か履歴を残しておくようにしましょう。後日税務調査が入った際の提供資料として使えます。

また、家事按分は月ごとや使用の度に按分割合を変えることも可能です。仕事を多くした月は割合を高めに、また仕事をしなかった月はゼロにすることもできます。実績に即した按分割合であることが証明できれば細やかな費用計上が可能となります。

家事按分できるもの

家事按分できる代表的な費用には以下のものがあげられます。事業とプライベートで共用しているものが該当します。

  • 水道光熱費
  • 家賃
  • ガソリン代
  • 通信費(電話、インターネット、FAX)

これらの支出は、適切な按分でもって一部費用に計上することができます。全額を費用とすることはできませんので、その点注意するようにしましょう。

要注意!家事按分できないもの

プライベートでも事業でも使っているものなら何でも家事按分していいわけではありません。

例えば食費や被服費といったものは家事按分することができません。食事は事業がなくても取りますし、服も仕事中以外も着ていますよね。「事業のための支出」であると認められないため、費用として家事按分することができないのです。

自宅に飾っている花代も同じです。電気代や家賃とは違い、花は仕事をする上で必ず必要となってくるものではありません。自宅で仕事をしている人なら、自宅で使っているものが何でも家事按分できるというわけではないのです。

事業を行う上で必要であり妥当なものだけが家事按分の対象となります。家事按分をする際は、「これは事業に必須の支出であったか?」という観点から費用を見直してみるといいでしょう。

まとめ

家事按分は何が該当するのか調べたり、按分割合がどのくらいなのか考えたりとちょっと面倒。しかし、家事按分はやったらやった分だけ節税効果が生み出せます。面倒だからと敬遠せず、節税目指して頑張ってみましょう。