生命保険料は経費にできる?個人事業主が経費にできる保険とは

個人事業主共通の悩み「これは経費になるのだろうか?」問題。今回はそんな悩みの中でも特に判断が難しい生命保険料や保険がテーマです。

自分が何かの拍子にこの世からいなくなってしまったとき、残される家族の生活のためにも生命保険は欠かせません。そう考えると、生命保険料は経費にできるように思えてきます。さて、その答えは?詳細は下記でみていきましょう。

個人事業主は生命保険料を経費で落とせる?

取引先との打合せ代や撮影で使うカメラ、日常業務を行うためのパソコンなど、個人事業主には「経費」として計上できるものがいろいろあります。

経費として扱うことができると収入から経費を差し引いた額で税計算をすることができるため、確定申告の際納める税金が経費にしなかった場合と比べると安くすみます。「できることなら少しでも経費を多くしたい」個人事業主の方なら誰もがそう思うはず。

では、多くの日本人が加入している生命保険。これは経費にすることができるのでしょうか?

そもそも経費にしていいものとは?

まずはじめに「そもそも経費にできるものは何なのか」というところからみていきます。経費にできるものとは、簡単に言ってしまうと「事業運営に必要な支出」が経費とできるものです。

個人事業主として行っている事業。その事業のために使用したお金が「経費」となります。事業のために使用していないお金ーつまり、プライベートな支出だと考えられるものは経費にすることはできません

例えば食事代。食事は、個人事業主であってもサラリーマンであっても必要となるものです。働いていない人にとっても必要です。そのため、食事代は経費にすることができません。事業のための支出ではなく、生命維持に必要なプライベートな支出であると考えられるからです。

個人事業主自身にかけた生命保険は経費にならない

「経費とは何か」を理解した上で、生命保険についてみていきましょう。

生命保険は、一般的に個人に対してかけるものです。個人事業主となっている本人、またはその家族などが対象者となることが考えられます。

個人事業主はその個人が主体となって事業を行っていることが多いため、もしその個人事業主が死亡してしまったら、事業にとっては大ダメージ。廃業となってしまうことも考えらえるでしょう。そのため、個人事業主にとって、その家族にとって、生命保険は欠かすことのできないものです。 

しかし、生命保険はサラリーマンにとっても必要なものです。一家の大黒柱であるサラリーマンが死亡した場合、生命保険は今後の家族の生活に大きな糧となってくれるものだからです。もちろん働いていない人でも生命保険に加入することは多々あります。

こうして考えると、もう答えはみえているのではないでしょうか。そう、生命保険料は経費として計上することはできません。

「事業運営に必要な支出」ではなく、もし事業をやめた・やっていなかったとしても必要となる支出だからです。事業を運営するための支出ではなくプライベートな支出であると考えられるため、経費にすることはできないのです。

個人事業主が経費にすることのできる保険

では、個人事業主はすべての保険を経費にすることができないのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。

経費にすることができない保険とは、プライベートな支出であると考えられるもの。逆に言ってしまうと、プライベートな支出ではなく事業用だと認められる保険は経費にできるのです。

従業員に対する保険

個人事業主が従業員を雇っていた場合をみていきます。もしこの従業員に生命保険をかけた場合、それは経費にすることができるのでしょうか。その答えは、従業員本人が対象者(被保険者)であり受取人も従業員である場合、経費にすることができます

この場合、個人事業主から提供される生命保険料は従業員の給与の一部であると考えられます。本来なら自分で支払うべきお金を個人事業主に負担してもらっている形となるためです。

店舗・事務所に対する保険

事業用に借りている店舗や事務所。これらに損害保険をかけた場合はその支出は経費とすることができます。商品を売っているお店やサービスを提供するために借りている事務所など、事業を行うために欠かせないものに対する保険は経費とすることができるのです。

個人事業主が同じように損害保険をかけた場合でも、寝食に利用している自宅が対象となる保険は経費とすることはできません。一方、自宅を事業の事務所としても一部利用している場合は、その一部に該当する部分のみ経費とすることができます。

社用車に対する保険

店舗に対する保険と同じように、自動車保険も経費として計上することができます。経費とするための条件は、事業用の車(社用車)に対する保険であること。つまり、プライベートに利用している車両にかかる保険料は経費とすることはできません。

また、プライベートと事業とで一台の車を兼用しているケース。そのときはプライベートに使っている割合と事業に使っている割合で自動車保険料を案分し、事業利用の部分だけを経費とすることができます。こちらも店舗・事務所のときと同じ考えで、事業を行うために欠かせないもの(部分)に対する保険は経費とすることができるのです。

個人事業主の生命保険料は所得控除(生命保険料控除)にはできる

個人事業主の生命保険料が経費にできないことはわかりました。しかし、落胆しきってしまう必要はありません。経費にすることはできませんが、所得控除として申告することはできるのです。

所得控除とは?

所得控除とは、確定申告の際に定められた支出・金額について納税の算出基準となる所得から控除することのできる制度です。

所得控除には、配偶者控除・医療費控除・寄付金控除・地震保険料控除・勤労学生控除などがあります。そして、生命保険料控除もその中のひとつ。生命保険料は所得から差し引いてもよいものとして定められています。

所得控除にすることで税金を抑えられる

生命保険料控除には、一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除の3つがあります。この3つをうまく組み合わせると、最大12万円の所得税の所得控除を受けることができます。加えて、最大7万円の住民税の控除を受けることも可能。

つまり、経費として全額を差し引くことはできませんが、所得控除を利用すると何もしないより税金を安く抑えることができるのです

所得控除を受けるためには適用限度額や自分の加入している保険が新制度・旧制度のどちらに該当するかなど確認する必要のある事項があります。旧制度と新制度、自分がどちらの保険にいくら加入しているのかによって、控除される上限額が変わってきます。自分がいくら控除を受けられるのかは、国税庁のホームページで確認するようにしましょう。

参考:No.1140生命保険料控除|国税庁 

まとめ

個人事業主は生命保険料を経費として計上することはできません。経費にすることができる支出は事業のための支出。生命保険料は事業を行っていなくても支出された費用であるため、経費にすることができないのです。

しかし、生命保険料控除として所得控除を受けることはできます。これにより、所得税・住民税を安く抑えることができます。生命保険に加入している個人事業主の方は、確定申告の際、生命保険料控除の記入を忘れないようにしましょう。