個人事業主が受け取れる助成金7選【2020年最新版】

個人事業主として仕事をしていると、資金への不安が少なからずあるのではないでしょうか。そこで活用したいのが「助成金」です。

厚生労働省などが経済活性化対策として、個人事業主を含めた企業に対して、さまざまな助成金でサポートをしています。

助成金は知っている人だけが得をする制度といっても過言ではありません。この記事では、助成金についてくわしく解説します。

助成金とは

「助成金」とは、国や地方自治体から支給される、返済不要の支援金のことです。主に厚生労働省が管轄していて、条件を満たした事業主が申請をすれば、基本的に支給されます。助成金は、雇用に関係するものが多いのが特徴です。

助成金は事業主が支払った経費に対して、あとから一部の金額が支給されます。助成金を受け取るには、事前に助成金の要件を満たす実行計画書を作成し、計画を実施、そのあと申請をします。

労働関係の助成金が多く、制度を整えなければならないものもあります。企業が新しい制度を取り入れたり社員を教育するということは、社員研修などに費用がかかります。企業側からすると、一時的に費用面で負担になることもあります。しかし、助成金の基準を満たすということは、社会にとってプラスとなりえます。その負担を軽減する目的で、助成金というごほうびがあるのです。

助成金と補助金はどう違うの?

助成金と補助金の共通点は「返済不要の支援金であること」です。それに加え、基本的にどちらも事業主が自ら申請をする必要があります。

このような共通点がありますが、実は助成金の方が補助金よりも受け取りやすい仕組みになっています。ここからは助成金と補助金の違いについて解説します。

助成金と補助金は、受けるために必要な条件が異なる

助成金は資格要件を満たして申請をすれば、基本的に受け取ることができます。一方、補助金には審査があります。事業主の事業計画などの審査により採択されないこともあれば、補助金枠の問題で不採択になることも。

このような理由から、助成金の方が受け取りやすいといわれています。

社会保険労務士に申請をアウトソースできる

厚生労働省管轄の助成金は、社会保険労務士に助成金申請をアウトソースすることができます。助成金申請には膨大な時間と知識が必要になるため、プロの手を借りるとスムーズな助成金申請が可能です。

ちなみに、報酬を支払って助成金のアウトソースができるのは、社会保険労務士だけ。「助成金コンサルタント」を名乗る無資格の業者も存在するため、注意してください。

個人事業主が受け取れる助成金7つ

個人事業主が受け取れる助成金にはどのようなものがあるのでしょうか。ここからは、主な7つの助成金についてお伝えします。

1.人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、従業員のキャリア形成のための職業訓練などを実施した際、訓練にかかった費用や訓練中の人件費などを一部助成する制度です。

人材開発支援助成金のコースは以下の4つです。

  • 特定訓練コース
  • 一般訓練コース
  • 教育訓練休暇付与コース
  • 特別育成訓練コース

人材開発支援助成金は従業員のキャリア形成のために利用することができます。また、雇用している従業員がいない事業主も、申請要件を満たせば自分自身の教育・訓練のために申請することも可能です。

参照:厚生労働省「人材開発支援助成金

2.トライアル雇用助成金

まずはじめに、「トライアル雇用」とは、試しに雇用するという意味です。トライアル雇用は全ての事業者、求職者が対象になるわけではなく、条件を満たさなければなりません。

トライアル雇用助成金の目的は、経験不足などで安定した職業につけない求職者に対して、雇用を創出することです。また、トライアル期間をもうけることで事業主・求職者双方の雇用のミスマッチを防ぎます。

コースは以下の3つです。

  • 一般トライアルコース
  • 障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース
  • 若年・女性建設労働者トライアルコース

ちなみにトライアル雇用は原則3ヶ月で、期間満了後の企業に採用の義務はありません。

参照:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金

3.キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、有期契約・派遣・短時間勤務といったいわゆる「非正規雇用の労働者」を企業内でキャリアアップの促進をすると、これらの取り組みを実施した事業主に対して助成されるものです。有名な助成金のため、名前だけ知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

キャリアアップ助成金には以下の7つのコースがあります。

  • 正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 健康診断制度コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 諸手当制度共通化コース
  • 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  • 短時間労働者労働時間延長コース

キャリアアップ助成金を受けるために、事業主はさまざまな要件を満たす必要がありますが、7コースに共通している要件は以下の通りです。

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
  • 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働 局長の受給資格の認定を受けた事業主であること 
  • 該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする 書類を整備している事業主であること
  • キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること

参照:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内

企業の成長には、そこで働く従業員の成長や生活の質の向上は欠かせないもの。しかし、従業員の成長を推進するための企業への負担は小さくありません。

キャリアップ助成金は、このような企業と従業員のギャップを最小限にしてくれる制度です。

参照:厚生労働省「キャリアアップ助成金

4.特定求職者雇用開発助成金

ハローワーク等の紹介により、高年齢者や障害者など、就職がむずかしい人を継続して労働者として雇用する事業主に対して助成されます。ここでいう「労働者」とは雇用保険の一般被保険者となることを指します。

コースは以下の9コースです。

  • 特定就職困難者コース
  • 生涯現役コース
  • 被災者雇用開発コース
  • 発達障害・難治性疾患患者雇用開発コース
  • 三年以内既卒者等採用定着コース
  • 障害者初回雇用コース
  • 安定雇用実現コース
  • 就職氷河期世代安定雇用実現コース
  • 生活保護受給者等雇用開発コース

基本的に雇用期限のない従業員を雇った場合に助成されます。

参照:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金

5.地域雇用開発助成金

地域雇用開発助成金は、求人が少ない地域において、雇用の場を増やした事業主に対して助成されます。近年、人口が都会に集中しており、地方の過疎化が進んでいます。そのため企業が過疎地で雇用をしてくれると、地域住民にとってメリットがあり、雇用創出に貢献した企業に対して助成があるのです。

コースは以下の2つです。

  • 地域雇用開発コース
  • 沖縄若年者雇用促進コース

対象者はコースによって異なりますが、厚生労働省が指定した地域の事業所が対象です。

参照:厚生労働省「地域雇用の開発のために

6.両立支援開発助成金

両立支援開発助成金は、仕事と家庭の両立ができる職場づくりの取り組みに対して助成されます。全部で5コースあり、たとえば男性の育児休暇取得の仕組みを整えた企業や、家族の介護が必要になった従業員がいる企業が対象です。

両立支援開発助成金の5つのコースは以下のとおりです。

  • 出生時両立支援コース
  • 介護離職防止支援コース
  • 育児休業等支援コース
  • 再雇用者評価処遇コース
  • 女性活躍加速化コース

それぞれのコースにより、対象者や要件が異なります。

参照:厚生労働省「仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主等のみなさまへ

7.中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成

「中小企業退職金共済制度(中退共)」とは独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営している、中小企業の退職金対策をサポートする制度のことです。

自力では退職金制度を整備するのがむずかしい個人事業主でも、制度をつくることができ、福利厚生を充実させることができます。

中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成には、以下の2つのパターンがあります。

  • 新規加入助成
  • 月額変更助成

新規加入助成では、新しく中退共に加入する事業主に対し、掛金月額の1/2(従業員ごと上限5,000円)を加入後4か月目から1年間、国が助成します。

月額変更助成では、掛金月額が18,000円以下の従業員の掛金を増額する事業主に、増額分の1/3を増額月から1年間、国が助成します。20,000円以上の掛金月額からの増額は助成の対象になりません。

参照:厚生労働省「中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成

助成金をもらいやすくする2つのコツ

繰り返しになりますが、助成金は受給資格をクリアして正しく申請すれば、基本的に受給できるものです。しかし、助成金は公的な資金のため、申請にもコツがあります。ここからは、助成金をもらいやすくするコツをくわしくお伝えします。

選考基準(条件)を意識して準備する

助成金には、厚生労働省など支給する側の意図があります。助成金の資金源の多くは、国民から徴収した税金です。公的な資金のため、その用途は財源を拠出した国民に対して、明確にしておく必要があります。

このような背景から、助成金は目的が細分化され選考基準もそれに沿ったものが明示されています。それが選考基準や条件に落とし込まれているため、意識して準備をしましょう。

信頼できる専門家に相談する

助成金を申請するには以下の2つの方法があります。

  • 自社で申請
  • 社会保険労務士に報酬を支払って申請代行を依頼

前述のとおり、厚生労働省管轄の「ヒトに関わる助成金」の申請代行ができるのは、社会保険労務士だけです。全国社会保険労務士会連合会の公式サイトの中でも、「助成金の受給対象となるかといった相談や、煩雑な申請手続を社労士が適切に行い、企業の皆様の発展を支援します。」と記載されています。

助成金を申請には、多くの書類記入や条件を把握することが必要なため、自分で申請する場合には通常業務を圧迫してしまう可能性も。助成金に精通した社労士に相談すれば、条件の確認や書類記入のミスを減らすことができるので、助成金の審査がとおりやすくなるでしょう。

注意点は、すべての社労士が助成金について、詳しいわけではありません。実際に依頼するときには、その社労士が助成金について知識があるかどうか確認してから依頼してくださいね。

参照:全国社会保険労務士会連合会

助成金を利用する際の注意点

助成金を活用する際に気をつけるべき点についてまとめました。

労務管理を正しく続ける必要がある

助成金を申請するには、添付書類として基本的に以下の書類が必要です。

  • 出勤簿
  • タイムカード
  • 賃金台帳
  • 労働者名簿
  • 就業規則の写しなど

つまり、日頃の労務管理を正しく継続する必要があるのです。とくに、タイムカードを確認する際には残業代が支払われているかどうかを確認されます。また、最低賃金が守られているかどうかも大切なチェックポイントです。

国や地方自治体のルールに沿って、適正な処理がされているかどうかをチェックされています。

不正受給には厳しいペナルティがある

助成金の不正受給とは、本来受けることのできない助成金を、書類の捏造などにより受け取ることです。

不正受給をした場合のペナルティは、大きく分けて以下の4つです。

  • 事業主の名称、事業者の名前などの公表
  • 不正受給をした助成金の返還
  • 3年間は雇用保険を財源としたすべての助成金を利用できない
  • 悪質な場合、労働局から詐欺罪で刑事告訴される

不正受給をすれば、事業主の名称などが公表されるため、取引先や従業員などにも知れわたり、企業の信用に大きなダメージがあります。

また、助成金の不正受給を調べるため、厚生労働省ではランダムに選んだ企業に対して、実地調査を行なっています。実地調査は事前の連絡なしで調査員がやってきて、労働者に対して聞き取りを行なうことも。相手はプロの調査官のため、ウソはバレます。不正受給は絶対にしないようにしましょう。

参照:厚生労働省「雇用関係助成金についての 実地調査のご協力のお願い

まとめ:かしこく助成金を活用してビジネスを成功させよう!

助成金は、国の方針に沿って正しく労務を行なっている企業に対して支給されるもの。きちんと労務管理・運営を行なっていれば、基本的に返済不要の資金が受け取れるのです。

ただし、助成金は申請から実際に資金を受け取るまで、かなりの時間を要します。そのため、急な資金繰り対策にはなりません。助成金の利用はスケジュールを立て、計画的に行なうようにしましょう。

注意:助成金は条件などが変わることがあります。実際に利用する際には、助成金を管轄している組織のホームページなどを確認してください。