税金が払えない個人事業主を救う5つの方法

「税金が払えない。」あってはならない事態ですが、もし、そのような状況に陥ってしまったら、ひとまず落ち着いて、この記事を読んでみてください。今回は、個人事業主が税金を払えない状況になってしまった際の「5つの対処法」についてご紹介したいと思います。

税金が払えなくてヤバいときは、まず税務署に連絡

まず、安心してください。税金が払えない場合も、ちゃんと対処方法があります。

1番やってはいけないことは、納付通知書が届いているのに、そのまま「放置する」こと。「だって、税金が払えないから…」と放置してしまうと、状況がどんどん悪化し、自分で自分の首を絞めることになります。

税金が払えず、「差し押さえ」をされた人のほとんどが「税務署からの連絡を放置した人」です。もし、税金が払えないとしても放置せず、税務署に正直に連絡をすることで、それ以上、状況が悪化することを避けることができます。

税金が払えなくてヤバいと思ったら、まずは税務署に連絡をするようにしましょう。

担当の税務署がわからない方は、下記のリンクから確認してみてください。

国税庁:税務署の所在地などを知りたい方

税金が払えないときの5つの対処法

納めるべき税金の種類や業種によって対処方法は異なりますが、今回ご紹介する5つの方法を理解しておくことで、状況に合わせた対応ができるようになります。この5つは、ぜひ覚えておいてください。

1.振替納税制度の利用(所得税と消費税のみ対応)

振替納税制度とは、口座から自動的に税金が引き落とされる制度のことです。確定申告の申告期限、納付期限は3/15。申告期限ギリギリになって税額が確定し、予想以上に税金が発生してしまった場合に、この制度を利用すれば納付期限を約1カ月程度延ばすことができます。

「延滞金」や「利息」の支払い等は一切ありませんので、「あと1カ月あれば、税金を払える」方の延命処置としてオススメです。

振替納税制度を利用するための条件

  • 税金を引き落とすための自分名義もしくは事業名の銀行口座が必要です

申請方法

  • 「預貯金口座振替依頼書兼納付書添付依頼書」を税務署もしくは金融機関に提出する

注意点

  • 「住民税」や「個人事業税」には対応していない
  • 振替日が毎年異なるので把握しておかないと、残高不足で引き落とせない場合がある
  • 引き落とせない場合には延滞税が発生する
  • 2020年の納付期限は、所得税が4月21日。消費税が4月23日
  • 転居して税務署の管轄が変わった場合は、再度手続きが必要

詳しくは国税庁の「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」と「申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続による納付」をご確認ください。

2.延納制度の利用(所得税のみ対応)

延納制度とは、税金の納付が困難な場合に、以下の2つの条件を満たすことで、税金を2分割して支払うことができる制度です。

延納制度を利用するための条件

  1. 申告期限日(2020年は3/15)までに税務署に「延納の届出」を提出する
  2. 確定申告分の所得税額2分の1以上を通常期限までに支払う(担保)

申請方法(納税額が10万円だった場合)

  1. 確定申告書の中に入っている「延納の届出」を3/15までに提出。提出の際には10万円の2分の1以上を支払う。(今回は50,100円を支払ったものとします。)
  2. 残りの49,900円を5月末までに支払う。

残額を納付するまでの間は、利子税(1.6%)が追加されます。

ただし、残額が30万円未満のときは利子税は全額免除になりますので、上記の場合には利子税は全額免除ということになります。

注意点

  • 通常期限で支払った後の残額は当年5月末までに支払う
  • 期限の5月末を過ぎると延滞税(2.6%~)が発生する

利子税と延滞税について

利子税とは、正当な手続きをして税金の支払い期限を延ばした場合に追加でかかる費用です。対して、延滞税とは、正当な手続きなく期限を過ぎた場合に追加でかかる費用のことです。

利子税と延滞税の比較一覧表


申請期間内に支払いした場合期限を過ぎた場合(2カ月未満)期限を過ぎた場合(2か月以降)経費として認められるか?
利子税1.6%延滞税に
切り替わる
認められる
延滞税2.6%8.9%認められない

※利子税・延滞税ともに毎年変動あり。毎年12月に翌年の税率が発表されます。

3.換価の猶予(分割払い)の利用

換価の猶予とは、本来一括払いの納税を特別に分割払いで対応してもらえる制度のことです。

納税の猶予が認められた時のメリット

  • 「すでに差し押さえられている財産の売却」を待ってもらうことができる
  • 「差し押さえられそうだった財産」の差し押さえを待ってもらうことができる

換価の猶予が利用できる対象者

  • 税金を納めたことにより、事業の継続や生活が困難になる人

本来、納税が遅れた場合は延滞税が付きますが、「換価の猶予」の申請をしていれば、延滞税の一部が免除されます。(2020年は免除されて1.6%)

申請方法

  • 「換価の猶予申請書」と資産や負債状況や収入、支出がわかる書類を税務署に提出する

換価の猶予の申請に必要な書類は、受ける金額や猶予期間によって変わってきますので、下記一覧表を参考にしてください。

換価の猶予を申請する際に必要な書類一覧表


100万円以下
かつ
3か月以内の猶予の場合
100万円を超える
もしくは
猶予期間3か月以上の場合
換価の猶予申請書必要必要
財産収支状況書必要必要
財産目録不要必要
収支の明細書不要必要
担保提供書不要必要

注意点

  • 基本的には、1年以内での分割返済(状況や返済能力で期限は変わります)
  • 申請書類は納付期限から6ヶ月以内に提出すること

換価の猶予は特例で最大4年まで延長できる方法がある

現在の収益や今後を考えた時に、どうしても1年間での返納が厳しいという場合には、延納期間をもう1年延長申請することができます。1年延長して2年になったとしても返納が厳しいという方も安心してください。

正式な手続きを踏んで、税務署長の許可が降りた場合は、「税務署長の職権」で支払い猶予期間を最大2年延ばすことができます。つまり、最大4年の猶予期間を得ることも可能というわけです。

しかし、これはあくまで特例。簡単に通るわけではありません。「延長しなければ払えない正当な理由」や「確実に返済できる見込みがある計画」が求められます。

4.納税の猶予の利用

「分割払いでも厳しい…」という方には、納税の猶予が有効です。納税の猶予は「すぐに納税ができない」「分割払いでも厳しい」という方向けの制度です。猶予が認められた場合のメリットと利用できる対象者の条件は以下のとおりです。

納税の猶予が認められた時のメリット

  • 原則、1年の範囲内で納税が猶予される
  • 納税の猶予を受けている期間中は、督促や差し押さえをされない
  • すでに差し押さえを受けていた場合、差し押さえを解除してもらえる場合がある
  • 延滞金の全額、または、一部が免除される

上記のように多くのメリットを受けることができます。しかし、納税の猶予の許可をもらうには、国が定めた条件に1つでも該当する必要があります。

納税の猶予が利用できる対象者

  1. 財産が災害、もしくは盗難、横領にあった
  2. 事業を廃止、もしくは休止をした
  3. 事業が大きな損失を受けた
  4. 本人または親族が生計に影響する程の病気や怪我をした
  5. 修正申告によって税額が確定した

申請方法

  • 「納税の猶予申請書」と資産や負債状況や収入、支出がわかる書類を税務署に提出する

納税の猶予の申請に必要な書類は、換価の猶予と同じく、猶予を受ける金額や猶予期間によって変わってきます。もし利用を検討している方は、必要な書類をまとめた下記の一覧表を参考にしてください。

注意点

  • 猶予を受けようとしている国税の他に、滞納している国税がないこと
  • 災害や盗難の場合、事実を証明する書類が必要

「換価」「納税」の猶予に必要な書類一覧表

換価の猶予も納税の猶予も、猶予を受ける金額や期間で必要になってくる書類の種類は同じです。違いは申請書が「換価」か「納税」かという点だけです。

申請に必要な書類の一覧表



100万円以下
かつ
3か月以内猶予の場合
100万円を超える
もしくは
猶予期間が3か月以上の場合
換価の猶予申請書
または
納税の猶予申請書
必要必要
財産収支状況書必要必要
財産目録不要必要
収支の明細書不要必要
担保提供書不要必要※1

※1 担保提供書が必要な条件に該当しているが「担保として提供できる財産がない」場合でも、事情を説明すれば無担保で対応してくれる場合もありますので、直接、税務署に出向いて担当者に相談してみてください。

換価の猶予・納税の猶予の手続きの流れ

申し込みから承認までの流れは、「換価の猶予」も「納税の猶予」も基本的に同じです。

  1. 申請書と必要書類を税務署に提出する
  2. 提出した書類の審査
  3. 猶予が許可された場合、郵送で「猶予許可通知書」が届きます
  4. 通知書に記載された分割納付計画に合わせて納付していきます

「換価の猶予」と「納税の猶予」の許可を取るためのポイント

各猶予を申請する際は、書類郵送ではなく税務署に直接出向くようにしましょう。税務署に行けば大抵の場合、担当者がついてくれます。担当者に直接「支払いが厳しい現状」「分割を希望する理由」を伝えることができますので、書類郵送に比べて、許可が下りる可能性が飛躍的に上がります。

また、国税庁や各都道府県の公式ページに、申請許可が下りるポイントとして「納税について誠実な意思を有する」と記載されています。簡単に言うと「納税する意思がある」ということ。 形式的に申請書を提出すれば通るというわけではないので担当者と連絡を密にすることが必要です。

参考:国税庁:第3章換価の猶予

「換価の猶予」「納税の猶予」の申請を通すポイント

  • 申請書は納付期限前に提出する必要がある
  • 申請は書類郵送ではなく、税務署に直接行く方が申請がとおりやすい
  • 担当者を味方につけた方が申請がとおしやすい
  • 納税する意思があることをしってもらうことが大切

手続きの詳しい流れや申請書の書き方については下記を参考にしてみてください。担当者に直接教えてもうことも可能です。

参考:国税庁:猶予申請の手引  /「換価の猶予申請書」の書き方 / 「納税の猶予申請書」の書き方

5.ファクタリングや事業者ローンを活用

入金スピードが早く、すぐに現金を確保できるのが「ファクタリング」と「事業者ローン」です。

ファクタリングとは、入金前の売掛金(請求書)を買い取ってもらい現金を調達する方法です。

ファクタリングを利用したときのメリット

  • 融資や貸付ではないので、請求書さえあれば資金調達ができる
  • 赤字や税金滞納者でも利用ができる
  • 個人事業主でも利用ができる

ファクタリングが利用できる対象者

  • 入金待ちの請求書がある方

申請方法

  • ファクタリング業者に入金待ちの請求書を見積もりしてもらい、買取額に承諾できるなら、申し込み、契約で請求書を現金化

注意点

  • 業者によって手数料や費用が異なる
  • 法律的な整備が不十分なため、ごくまれに悪質な業者が存在。最低限の知識が必要

ファクタリングを利用する際には、手数料として多少の費用はかかりますが、即日で現金を調達できますので「いますぐ、現金が欲しい」という方におすすめの方法です。

関連記事:請求書をすぐに現金化!フリーランスも使える「ファクタリング」とは?

そして、もう1つが、通常の融資の借り入れ限度額とは別に借入ができる「事業者ローン」(ビジネスローン)です。本来であれば、個人で金融機関や消費者金融から借り入れをするさいは「本人の年収の3分の1を超えてはならない」という規制がありますが、事業者の場合は、「個人」ではなく「事業者」になるため、規制外で借りることができますし、無担保・無保証・年利3%~18%と、条件も良心的です。ですが、自分や事業内容の信用が低い場合には審査に通らないこともあります。

その点、ファクタリングは売掛金(請求書)さえあれば、簡単に資金を調達することができます。

使いやすく早い利点は、個人事業主の助けとなるでしょう。

まとめ

本記事のポイントは、

  1. 少額で少しだけ待ってもらえれば払える場合は延納制度や口座振替制度で対応
  2. 額が大きく厳しい場合には換価の猶予や納税の猶予で対応
  3. すぐに納税したいならファクタリングやビジネスローンで対応

税務署といえば、一方的に「差し押さえ」をしたり、話を聞いてもらえず、何かと融通がきかないイメージもありますが、それは「税金の滞納者と連絡が取れない」場合のみです。たとえ税金が払えていない場合でも、正しい対応をしていれば、「差し押さえ」などされず、何かしらの対処法を使って解決できることの方が多いのです。

まずは、直接税務署に行って相談し、「納税する意思はしっかりある」ということを、担当者に伝えることが大切。担当者と密に連絡をとり、味方になってもらいましょう。

関連記事:請求書をすぐに現金化!フリーランスも使える「ファクタリング」とは?